Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
本研究では、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いた哺乳類のオートファジー制御プロテアーゼの網羅的探索を行った。探索を行うにあたり、Cas9とtfLC3 (tandem fluorescence tagged LC3) を発現するHeLa細胞を作成し、フローサイトメーターによるオートファジー不全細胞の単離に必要な実験系を組み立てた。既知のオートファジー必須遺伝子の欠損細胞が取得されることを基準に、オートファジー誘導方法などの条件検討によって、オートファジー不全細胞の単離方法を確立した。またこの手法では、各階層のオートファジー制御遺伝子が単離できることも確認した。実際のスクリーニングには、Cas9・tfLC3 発現HeLa細胞にプロテアーゼsgRNAライブラリー (473遺伝子・5030コンストラクト) をレンチウイルス(プール)によって感染させ、ノックアウト細胞を作製後、樹立した単離方法によりオートファジー不全細胞を回収した。回収した細胞群のゲノムDNAを次世代シークエンサーを用いて解析し、ゲノムに組み込まれたsgRNA配列をライブラリーのリストにマッピングすることで遺伝子の同定に成功した。同定された遺伝子の中には、既知のオートファジー制御システインプロテアーゼATG4Bが含まれ、さらに機能未知のプロテアーゼが複数存在した。これらの遺伝子の検証結果、新規オートファジー制御因子としてセリンプロテアーゼが明らかとなった。