Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
ミトコンドリアは母系遺伝することが知られているが、哺乳動物において精子ミトコンドリアが積極的な排除を受けるのか否かという議論が現在も続いている。受精卵内に侵入した精子由来ミトコンドリアがどのように消失するのかを超微形態学的側面から明らかにするのを目的とし、卵細胞の“光‐電子相関顕微鏡(CLEM)法”とFIB-SEMトモグラフィー法の条件検討とともに、オートファゴソーム膜の標識法の検討を行った。卵巣より回収した未受精卵を実体顕微鏡下で1個ずつ区別し、アガロースゲルに包埋後、個別に電子顕微鏡用試料作成を行った。直径100μm以上の卵細胞をFIB-SEM観察を行うため約20μm厚の切片を作成した。ダイヤモンドナイフを加温し、切片が刃を滑りやすくする処理を施すことで、比較的滑らかな表面の切片を連続して得ることができた。得られた切片をFIB-SEMを用いて連続切削像を取得した。より簡便に試料作成する条件、FIB-SEM観察により最適な切片の厚さをさらに検討したい。オートファジーの過程を電子顕微鏡下で可視化するために、オートファゴソーム形成因子であるLC3にAPEXをタグ付けした発現ベクターを構築し、培養細胞へ過剰発現させた。APEXとDABの反応産物が隔離膜様の構造付近に観察されたものの、膜上から細胞質へ拡散しており期待したほどの標識が得られなかった。隔離膜上に局在する他のオートファジー形成因子のAPEXタグタンパク質を構築・発現し、オートファジーの標識に有効な因子を検討したい。