Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
RBがん抑制遺伝子の機能抑制が脂肪酸組成にインパクトを及ぼすことの発見をヒントに、脂肪酸伸長酵素ELOVL6と脂肪酸不飽和化酵素SCD1が、RBの重要な標的であることを見出した。本年度は、主にELOVL6ノックダウンのがん治療効果を検討し、ELOVL6ががん治療の標的として有効であることを示す証拠を得た。具体的には、1. ヒト乳がん細胞株および肺がん細胞株におけるELOVL6のノックダウンが、顕著な細胞周期抑制を誘導することを見出した。また、様々ながん細胞株を用いたshRNAスクリーニングのデータを解析した結果からも、肺がん、乳がん、肉腫、AMLなどにおいてELOVL6の遺伝子発現抑制により細胞生存率が顕著に低下することを予測した。2. この機序を解明するため、リピドミクス解析を実施し、ヒト乳がん細胞株および肺がん細胞株におけるELOVL6のノックダウンが脂肪酸およびその代謝物の組成に及ぼす影響を検討した。これまでのところ、脂肪酸については、ELOVL6の発現抑制により鎖長の短い脂肪酸が減少し、鎖長の長い脂肪酸が増加する傾向が認められた。また、スフィンゴ脂質代謝の変化は顕著であり、スフィンゴミエリンの減少、セラミドの増加などが認められた。今後、さらに詳細に脂質組成の変化を追跡し、このような脂質組成の変化がどのようにして細胞内シグナルや細胞周期制御機構の変化につながるのかを解明する。3. ELOVL6・SCD1のステータスがRBへテロ型変異マウスのがん表現型 (下垂体腺がんを発症、寿命短縮) に及ぼす影響を検討するため、Rb+/-; Elovl6-/-あるいはScd1-/-マウス、およびこの適切なコントロール群を作製した。今後、さらにマウスの個体数を増やすとともに、腫瘍表現型の解析を行う。本研究は、脂質を標的としたがん治療法開発の先駆けとなる研究に発展すると考える。
All 2018
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
Mol Cancer Ther
Volume: 印刷中 Issue: 7 Pages: 1515-1525
10.1158/1535-7163.mct-17-0845