Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
C57BL/6マウスに肝細胞障害性薬剤を12週間以上投与し慢性肝障害を誘導すると、肝線維化をきたした。その後、肝障害性薬剤の投与をやめると、2週間以上かけて蓄積した線維が徐々に融解し、繊維化は改善した。この線維化改善過程で肝臓における単球/マクロファージが果たす役割、またその機能を調節する因子としてオンコスタチンM(OSM)に着目した。定常時の肝臓ではOSMはほとんど発現しておらず、線維化進行に伴い徐々に発現が上昇した。その後薬剤投与を中止するとOSMは徐々に低下するが、2週間は発現は遷延していた。この線維化が改善する過程で、マウス肝に単球/マクロファージの養子移植を行なった。肝臓局所で分泌されるOSMが養子移植した単球/マクロファージの性質に与える影響を解析するため、OSM受容体を発現する単球/マクロファージと、欠損した単球/マクロファージをそれぞれ肝線維化改善過程の野生型マウスに養子移植。結果は、OSM受容体を欠損する単球/マクロファージを移植した場合にのみ、線維化の改善が促進した。以上の結果から、肝線維化の改善過程ではOSMの発現が遷延し、マクロファージの線維溶解作用を負に制御している可能性が示唆された。今後、肝線維化を誘導した野生型マウスおよびOSM受容体欠損マウスからマクロファージを単離し、遺伝子発現を網羅的に比較することで、OSMにより調整されるマクロファージ由来の線維化改善因子を探索同定していく予定である。
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