Project/Area Number |
18KK0151
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 32:Physical chemistry, functional solid state chemistry, and related fields
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
甲賀 研一郎 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (10315020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 隆一 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任講師 (10636385)
墨 智成 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (40345955)
望月 建爾 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (40734554)
植松 祐輝 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (30830111)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2019: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2018: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | 疎水効果 / 疎水性相互作用 / 溶媒和 / ミセル / イオン / イオン添加効果 / 浸透第二ビリアル係数 / セチェノフ係数 / 溶媒誘起力 / ミセル形成 / 相分離 / 環境応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
次の三課題について研究を実施した. 課題1.溶解度に対する塩添加効果の尺度であるセチェノフ係数Ksと疎水性相互作用に対する塩添加効果の尺度である浸透第2ビリアル係数Bのイオン濃度微分係数CIの相関関係を確かめる目的で研究を実施した.分子動力学シミュレーションにより水中および水溶液中のメタンのB及び水溶液のKsを計算した.イオン種はHCl, LiCl, NaCl, CsCl, MgCl2, LiF, NaF, CsF, LiI, NaI, CsI, NaOH, アルコール種はメタノール,エタノール,プロパノールである.シミュレーションの結果は,理論式CI = CI(1) + Ks^2/4 にほぼ一致することがわかった. 課題2.ミセル形成駆動力の構成要素の解明に取り組んだ.界面活性剤分子および水分子からなるモデル系の分子動力学シミュレーションを行い,ミセルを形成する界面活性剤分子の疎水基部分の溶媒和自由エネルギー,親水基部分の静電エネルギーを評価した. 課題3.溶媒中の溶質分子間に働く有効相互作用が,溶質分子サイズと共にどのように変化するのかを明らかにする目的の研究を実施した.大規模分子シミュレーションを実行し,水中のメタン型分子間に働く疎水性相互作用および単純液体中のメタン型分子間に働く有効相互作用を,平均力ポテンシャルw(r)および浸透第2ビリアル係数Bとして評価した.溶質分子サイズ依存性の計算を行った.その結果,水溶液中ではBが負の値をとり,その絶対値が溶質分子直径σの6乗に比例して大きくなることを見出した.また, 一定の熱力学条件下の単純液体中でBが正の値をとり,その絶対値は,水中と同じく溶質分子直径σの6乗に比例することがわかった.これらの成果を論文にまとめ,J. Chem. Phys. のCommunicationsセクションにて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では疎水効果,水溶液構造,ミセル形成という相互に関連する物理化学・化学物理の中心的問題を解明する研究計画を立てている.そのうちの疎水効果に関する研究については着実に成果が得られている.一方,2022年度も海外渡航制限および入国制限により,研究代表者および分担者が計画していた海外研究3拠点への渡航及び研究実施は不十分であると言わざるを得ない.ただし,22年度には研究代表者がスペインのヴィーゴ大学およびマドリッド・コンプルテンセ大学を訪問し,課題に関する情報交換を行った.米国Purdue大学教授Ben-Amotz,ロシアSt. Petersburg大学教授Shchekinとはメール会議またはオンライン会議により研究の進捗状況を共有し,今後の方向性について議論を行っている.共同研究者である九州大学・植松氏がナノバブルの実験を推進している.ミセル形成の理論構築に関しては,分子シミュレーション計算時間が十分ではなく,継続して計算を行っており,その結果を解析して,理論構築を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
三つの課題について以下のように研究を推進する. 課題1.溶解度に対する塩添加効果の尺度であるセチェノフ係数Ksと疎水性相互作用に対する塩添加効果の尺度である浸透第2ビリアル係数Bのイオン濃度微分係数CIの相関関係に関する計算を完了させ,論文化し,投稿する.次に,イオンモデルの開発を行う.現在,H3O+, OH-のイオンモデルの最適化を行っており,これと併せて他のイオン種のモデル開発を行い,塩水溶液密度の温度依存性,疎水性溶質,両親媒性溶質の溶解度や会合を正しく再現できるモデルを完成させる.また,各イオン毎のセチェノフ係数Ks,部分モル体積を計算し,これらの組み合わせで無限希釈溶液の塩水溶液の物性を表現できることを提案する. 課題2.引き続き,ミセル形成駆動力の構成要素の解明に取り組む.分子動力学シミュレーションを継続し,ミセルを形成する界面活性剤分子の疎水基部分の溶媒和自由エネルギー,親水基部分の静電エネルギーを評価し,様々なサイズのミセルに対してこれらの要素の決定し,これまでのミセル形成自由エネルギーモデルの妥当性を検証し,新たな理論モデルの構築を進める. 課題3.溶媒中の溶質分子間有効相互作用の溶質分子サイズ依存性を解明する研究を継続する.具体的には,溶媒密度,溶質溶媒直接相互作用,溶媒分子特性が溶質分子間有効相互作用の溶質分子サイズ依存性に及ぼす影響を調べる.研究手法は分子動力学シミュレーション,積分方程式理論,拡張AO理論の3手法で行い,近似計算の有効性,問題点についても明らかにする.
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