Project/Area Number |
18KK0203
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 45:Biology at organismal to population levels and anthropology, and related fields
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
稲垣 祐司 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (50387958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石谷 佳之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 特任研究員 (60772043)
中山 卓郎 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (70583508)
矢吹 彬憲 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), グループリーダー (20711104)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2019: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 原生生物‐細菌共生系 / 細胞内共生 / 生物多様性 / 海洋生態系 / 生態地理 / 原生生物-細菌共生系 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はフランス Villefranche-sur-Merでの調査を予定していたが、COVID-19パンデミックにより海外渡航が困難だったため実施することはできなかった。ただし中山(分担)は2022年11月と2023年3月に沖縄にてサンプリング調査を行い、、シアノバクテリアを共生させる渦鞭毛藻を中心に採集を行った。 石谷(分担)と稲垣(代表)は日本産有孔虫Ammonia beccariゲノムシーケンスデータ中に同定された複数種類の共生細菌ゲノムデータのアノテーション作業とそれに続く遺伝子レパートリーの同定を行った。石谷は自身が確立した有孔虫Allogromia laticollarisおよびGloborotalia inflataの実験室内培養株から取得したゲノムデータ中に細菌ゲノム断片が検出されたが、有孔虫細胞と共生している細菌なのか、有孔虫細胞と共生していないが培養液中に存在する細菌なのかは、今のところ結論が出ない。 中山は、渦鞭毛藻Histioneis depressaに共生するシアノバクテリア(以下HdCynA)から増幅したゲノムを解析した。HdCynAのゲノムサイズは5.38 Mbpと推定され、6,064のタンパク質がコードされていることが予想された。系統解析によって、HdCynAはCrocosphaera属に近縁であることが明らかとなった。昨年度渦鞭毛藻Citharistes regiusから単離した共生シアノバクテリアから増幅したゲノムDNA配列のアノテーションを行った。 矢吹(分担)はディプロネマ類の新種の単離培養と共生細菌の有無の検証を続け、多数の培養株を確立した。また稲垣と共同で行ったアンキロモナス類共生細菌のゲノムを1つの環状分子に再構成することに成功した。複数遺伝子に基づく系統解析により、この共生細菌はダダバクテリアであると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたロスコフ海洋研究所(フランス)・Columban de Vargas博士とのVillefranche-sur-Mer(フランス)における共同サンプリング調査は実施できなかった。しかし静岡県下田沖と沖縄におけるサンプリングで採集した渦鞭毛藻類の共生シアノバクテリアのゲノム解析が順調に進んでいる。我々の研究対象である渦鞭毛藻類はディノフィシス目に属し、宿主系統は互いに近縁である。しかし我々の解析により共生体は明らかに近縁ではなく、ディノフィシス目渦鞭毛藻の進化中で共生体の入れ替わりが複数回起こったことを示唆する。 有孔虫細胞に共生する細菌のゲノム解析は着実に進行しているが、完了していない。しかし石谷(分担)がこの本計画で取得した有孔虫のゲノムデータ・トランスクリプトームデータは、有孔虫の環境応答に関する論文にももちいられ、英文査読付き論文として出版されることが確定した。 矢吹(分担)と稲垣(代表)は、アンキロモナス類に共生する細菌のゲノムを完全に解読することに成功した。決定したゲノムデータを解析したところ、興味深いことにこの共生細菌はメタゲノム解析で検出されたが実態が不明なダダバクテリアの1種であることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のサンプリング調査は沖縄と下田を中心に実施してゆく。まず下田のサンプリング調査を5月下旬に行う予定である。沖縄のサンプリング調査は今後日程を調整する。 石谷と稲垣は昨年度までに、各種有孔虫のゲノムシーケンスデータ中に検出された細菌ゲノムデータのアノテーションを行い、共生体かどうかを検討し、共生体の場合、そこにコードされるタンパク質レパートリーが減少しているかどうか、共生生活が最近の代謝機構にどのように影響を与えているかを精査する。また複数遺伝子に基づく系統解析により書く共生細菌がどのような細菌系統に属するかを推測する。 中山が中心となり、渦鞭毛藻Histioneis depressaに共生するシアノバクテリアHdCynAのゲノムに関する英文論文を完成させ、査読付き雑誌へ投稿する。また渦鞭毛藻Citharistes regiusの共生シアノバクテリアのゲノムについても解析を修了し次第、英文投稿論文の作成に取り掛かる。最終的に、渦鞭毛藻Ornithocercus magnificusに共生するシアノバクテリアOmCyn(中山ら2019 PNAS)と本研究で取得した共生シアノバクテリアのゲノムを併せて、ディノフィシス目渦鞭毛藻の進化中でシアノバクテリア共生体がどのように確立したかを推測する。 アンキロモナス類細胞に共生する細菌が存在し、その細菌が実態不明なダダバクテリアの1種であることが明らかとなった。今後矢吹と稲垣は、この共生細菌のゲノムアノテーションを行い、共生細菌の代謝経路を復元する。また複数遺伝子に基づく系統解析を行い、ダダバクテリアに近縁な自由生活性の細菌系統を推測する。最終的にダダバクテリアの代謝経路を、自由生活性近縁細菌の代謝経路と比較し、共生生活がタンパク質レパートリーにどのように影響しているかを推測する。
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