性的侵害行為の刑事法的規制を巡る包括的スキームの構築
Project/Area Number |
18KK0369
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Criminal law
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
深町 晋也 立教大学, 法学部, 教授 (00335572)
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Project Period (FY) |
2019 – 2024
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥9,360,000 (Direct Cost: ¥7,200,000、Indirect Cost: ¥2,160,000)
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Keywords | 性犯罪 / 性刑法 / 中華民國刑法 / オンラインハラスメント / 性的虐待 / ストーカー行為 / 監護者性交等・わいせつ罪 / 家族と刑法 / 児童に対する性的虐待 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績としては、①昨年度に引き続き、台湾におけるストーカー行為に対する新たな規制立法に関する調査を行ってその成果を論文として公表したこと、及び②台湾及び日本における性犯罪及びそれに関連する犯罪に関する規定の研究を進めて台湾において研究成果の講演を行い、また、その成果を論文として公表したことが挙げられる。 ①については、昨年度に引き続き、2021年に台湾において新たに制定された「跟蹤騷擾防制法」に関する調査を進め、立法過程における議論や学説による分析・批判等を検討した。また、その成果を基に、「跟蹤騷擾防制法」がストーカー規制という観点からどのような特質を有しているのかを析出した上でその処罰根拠に遡った検討を行い、日本のストーカー行為等規制法の処罰根拠及び同法におけるストーカー行為の要件である「恋愛感情等充足目的」と比較しつつ、防制法における「與性或性別有關」要件についての分析・検討を加えた論稿を日本の雑誌に公表した。 ②については、台湾における性犯罪及び名誉毀損罪に関する議論等を調査しつつ中華民國刑法における諸規定に関する検討を進め、日本における性犯罪規定改正の動向と比較・検討を行い、また、侮辱罪の法定刑引上げとの比較・検討を行った。更に、その成果を基に、台湾やドイツにおける性犯罪規定の在り方を参照しつつ、1)児童に対する性犯罪を巡る日本の改正動向を分析した講演を國立政治大学において、また、2)性犯罪全般の改正に関する日本の議論状況を紹介・検討した講演を國立台湾大学においてそれぞれ行った。かつ、3)オンラインハラスメントに関して日台の議論状況を比較する講演を國立台北大学において行った。 加えて、②1)及び②3)については、講演を基にした論文を中国語に翻訳して台湾の法学専門誌において公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、①東アジアにおける性犯罪規定のあり方やストーカー規制のあり方、更にはその実務動向等を調査するために台湾における研究滞在を行って研究・調査を進めること、②研究滞在中に日本及び台湾の比較法的考察に関する講演を複数回行うこと、及び③研究の成果を台湾及び日本の雑誌において公表することを計画していたが、そのいずれについても相当程度に達成することができた。 具体的には、①については國立政治大学の刑事法講座に短期の客員研究員として研究・調査を進め、性犯罪規定や名誉毀損に関する諸規定、ストーカー処罰立法(「跟蹤騷擾防制法」)等に関して文献調査・インタビュー等を行い、それらを基に研究を進めた。また、②については、1)國立政治大学において「児童に対する性犯罪について ―児童の健全成長・発達の観点からー」と題する講演を、2)國立台湾大学において「日本の性犯罪改正について ―不同意性交等・わいせつ罪を中心にー」と題する講演を、3)國立台北大学において「日本における侮辱罪の法定刑引上げと残された課題」と題する講演をそれぞれ行い、台湾法やドイツ法との比較検討の上で日本法の特色や改正動向について議論を深めた。更に、③については、①で行った研究を基に日本において「ストーカー行為規制を巡る日本と台湾の対話」と題する論文を公表し、また、②の講演を基にして「對於兒童的性犯罪──從兒童的健全成長與發達的觀點出發」及び「日本侮辱罪法定刑的提高與所留下的課題 ──關於網路騷擾的規制」の2つの論文を公表した。こうした成果に鑑みれば、当初の研究計画を着実に実行し、研究が進展しているものと評価できる。 他方、台湾における近時の性犯罪改正のうち、性的画像等の製造、特にAIによる製造の規制といった立法動向については十分に調査・検討を進めることができなかった。この点に関しては今後の研究課題とせざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については、2024年度までの再延長を認められており、これまでの年度における研究を総合的に考察し、日本における性犯罪規定のあるべき姿を刑事法というシステムの中で検討することを予定している。そのためには、ドイツ法を始めとする比較法的な知見が重要となるため、2024年度においても海外共同研究者を始めとした国内外の研究者との連携を通じて更なる研究を進める計画である。 また、台湾における性犯罪に関する新規立法の調査研究をさらに進めることを予定している。
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Report
(5 results)
Research Products
(21 results)