性的侵害行為の刑事法的規制を巡る包括的スキームの構築
Project/Area Number |
18KK0369
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Criminal law
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
深町 晋也 立教大学, 法学部, 教授 (00335572)
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Project Period (FY) |
2019 – 2023
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥9,360,000 (Direct Cost: ¥7,200,000、Indirect Cost: ¥2,160,000)
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Keywords | 性犯罪 / 性的虐待 / ストーカー行為 / 監護者性交等・わいせつ罪 / 家族と刑法 / 児童に対する性的虐待 / 性刑法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績としては、①ドイツにおける児童性犯罪を巡る処罰規定の法改正につき、現地における資料調査及びインタビュー・ディスカッションを行ったこと、②①の成果を元にドイツ語圏における議論状況と比較しつつ我が国における性犯罪規定の改正に関する研究を進めたこと、及び③台湾におけるストーカー行為に対する新たな規制立法についての調査を行ったことの3点に分けることができる。 ①については、ケルン大学のThomas Weigend名誉教授の協力の下、ドイツ刑法176条以下における児童性犯罪規定の2021年改正を巡る立法的背景、具体的な改正内容及びその意義についてインタビュー・ディスカッションを行い、オーストリア法やスイス法における議論も参照しつつ検討を進めた。また、イェナ大学のEduard Schramm教授に対するインタビュー・ディスカッションを行い、同改正の実践的な意義について更に深く検討を加えた。 ②については、1)前述のドイツ刑法2021年改正の内容を詳細に紹介しつつ、その意義や問題点について分析・検討を行った論文、及び、2)同改正において、原則的な児童性犯罪であるドイツ刑法176条が一律に重罪とされつつも、青少年間の性的行為についての特別な規定が設けられた点を我が国の性犯罪規定改正の議論動向と関連させつつ検討した論文を公刊した。 ③については、2021年に台湾において新たに制定された「跟蹤騷擾防制法」に関する調査を進め、日本のストーカー行為等規制法における「恋愛感情等充足目的」と比較しつつ、「與性或性別有關」要件についての検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、①ドイツにおける児童性犯罪規定の改正に関する研究調査を行うこと、②ドイツ語圏及び日本の児童性犯罪に関する立法動向の比較分析の成果を日本において公表すること、及び③台湾におけるストーカー規制立法に関する研究調査を行うことの3点を計画していたところであるが、そのいずれについても相当程度の成果を挙げることができ、概ね順調に進展しているものと評価できる。 ①については、海外共同研究者であるBettina Weisser教授が所長を務めるケルン大学の外国・国際刑法研究所に客員研究員として所属し、同研究所の豊富な比較法資料・立法資料を利用し、かつ、同研究所のThomas Weigend名誉教授による協力も得て、児童に対する性犯罪を巡る2021年刑法改正について詳細な調査・検討を行うことができた。 ②については、ドイツにおける前述の改正を詳細に紹介しつつ、その意義を分析し、批判的検討をも加えた論稿を公表した。また、このような比較法的知見を元に、我が国における児童に対する性犯罪の解釈論及び立法論について検討した論稿を公表した。これらの諸論稿は、日本における性犯罪規定改正が有する意義やその問題点を指摘するものであり、今後のあるべき議論の方向性を示すものと言える。 ③については、台湾におけるストーカー規制立法の具体的内容を現地の研究者と連携しつつ調査・検討を行うものであり、日本のストーカー行為等規制法における「恋愛感情等充足目的」要件の撤廃の可否を検討するに当たっても極めて重要な意義を有するものと言えよう。 他方で、③については未だ調査段階に留まり、論文等の公刊あるいは学会等における報告といった研究成果が挙げられていない点も考え合わせると、本研究はおおむね順調に進展しているものと言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については、2023年度までの再延長を認められており、これまでの年度における研究を総合的に考察し、日本における性犯罪規定のあるべき姿を刑事法というシステムの中で検討することを予定している。そのためには、ドイツ法を始めとする比較法的な知見が重要となるため、2023年度においても海外共同研究者の研究所において客員研究員として所属し、研究を進める計画である。 他方で、東アジアにおける性犯罪等のあり方やその実務動向等を調査するために、台湾における研究をも継続する。具体的には、国立政治大学の刑事法講座に2023年4月以降、短期の客員研究員として所属し、同大学の豊富な文献資料を活用しつつ、中華民国刑法における性犯罪規定やストーカー規制立法に関する更なる調査を進め、その成果を台湾及び日本において公表する予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(15 results)