Jordanian politics and tribal society: Fieldwork-based research on politics, society, and economies in the south
Project/Area Number |
18KK0373
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
吉川 卓郎 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (30399216)
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Project Period (FY) |
2019 – 2024
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥13,520,000 (Direct Cost: ¥10,400,000、Indirect Cost: ¥3,120,000)
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Keywords | ヨルダン / 安全保障 / 政治体制 / 部族 / イスラーム / 社会運動 / 君主制権威主義体制 / イスラーム主義 / 外交 / ヨルダン政治 / 安全保障化 / 権威主義体制 / 王制 / 政治学 / アイデンティティ / 民族 / 国家‐社会関係 / 国際関係 / 地域研究 / アラブ王制 / 政治 |
Outline of Research at the Start |
本国際共同研究において、応募者は基課題を足掛かりに、これまで本格的な分析がなされていないヨルダン政治における部族社会による影響力の把握を試みる。具体的には、ヨルダン建国当初から王政の最重要支持基盤であり続けてきた南部部族社会と国家の、今日における関係の測定を目指す。ここではヨルダン大学を拠点に、共同研究を実施する。さらに、同国安全保障の要となる組織に多数人材を輩出してきた南部部族社会における政治・経済の構造解明を目指す。そのため、南部のフサイン・ビン・タラール大学を拠点に、共同研究を行う。最終的には、基課題の掲げるヨルダンの総合的な研究ならびにアラブ王制研究の飛躍的発展を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年8月にヨルダンへ渡航し、Muhammad Eiedat教授との共同研究を推進した。具体的には、ヨルダン外交・安全保障ならびに国内の中央・地方関係に関する意見交換を続けた。またアンマン市内にて資料収集と、同市Shmeisani地区でのフィールドワークを実施した。
2023年度より、新たな研究協力者としてイスラエルのRonen Itzhak教授と台湾の崔進揆(Tsui Chin Kuei)准教授を迎えた。Itzhak教授とは、当初、10月に現地渡航のうえ本研究課題に関連する史料・資料の共同調査や研究ワークショップ等の企画を推進する予定であった。しかし同月に同国とガザ地区で紛争が勃発し、現在に至るまで現地渡航が難しい状況となった。そのため、Itzhak教授とはオンラインを中心とした連絡・連携を進めてきた。これまで、①ヨルダンの歴史・政治に関する著書の編集、②英字国際ジャーナルへの投稿の準備を進めた。このうち②については、2024年2月に投稿を済ませ、査読の結果、修正(minor rewrite)を進めているところである。 台湾の崔准教授との共同研究では、現在まで3回の現地渡航・滞在を実施した。2023年11月の1回目の渡航では、崔准教授の所属先である国立中興大学でのワークショップ、また国立政治大学でのワークショップ・招待講演を実施した。また12月には国立中興大学が発行する中国語ジャーナルに論考を掲載した。同月に再び中興大学に滞在し、崔准教授との共同研究を進めた。2024年3月には、日本の中東研究者らと中興大学を訪問し、国際ワークショップを実施した。参加者間の研究ネットワーキングも順調に進み、2024年度には崔准教授を含めた同じメンバーにて国際学会参加への準備を進めることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度以前と異なり、新型コロナウィルスの影響をほとんど受けることなく予定通りに現地渡航・滞在・調査を実施することができるようになった。また、新たに2名の現地研究協力者を得ることができ、本研究の掲げる課題について、かなり速いスピード感を持って進めることができた。 ヨルダンのEiedat教授からは、1990年代以降のヨルダン政治体制・政策の変容について、周辺諸国の情勢を含めた研究のアイデアで的確な助言をいただいた。これらの内容は、現在申し込みを進めている2つの国際学会発表(日本と台湾)の内容に十分に生かされている。もう1人のヨルダン現地協力者であるBani Salameh教授との共著論文は、2023年度中の完成には至らなかったものの、量的に一定の進展を見た。両者との研究成果の一部は、6月にチェコで開催された地中海学会大会での研究発表にも生かされている。 イスラエルのIzhak教授とは、2023年の夏に研究協力に着手したばかりでありながら、既に2件の共同執筆計画を進めることができた。1件目(ヨルダン安全保障史)は新たな図書刊行を目指すプロジェクトであるため達成まで一定の期間を要するが、2件目(ヨルダンの国内安全保障と地方の社会運動)については、それぞれが単著論文を完成させ、年度内に英字学術誌へ投稿することができた。 同様に、崔准教授との共同研究も、開始から間もなく成果を示せた。2024年11月には現地でのワークショップ開催、そして崔准教授のネットワークを生かし国立政治大学(台中)での招待講演が実現した。また12月には、最新の研究成果(2023年のガザ紛争を巡るヨルダンの対応)を中国語ジャーナルで刊行した。 以上のように、2023年度の海外共同研究は大幅に前進しており、成果物の準備も着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度である2024年度には、以下の研究を推進・総括し、当初目的に沿った成果を出せるよう最大限努力したい。 海外研究者との連携としては、8月にヨルダンへ渡航し、Eiedat教授との共同研究・調査内容を総括する議論を行う予定である。また9月には、ヨルダンでBani Salameh教授と進めた共同調査を総括したい。Bani Salameh教授と進めてきたヨルダン国内の政治腐敗構造に関する研究は、2022年度に学会発表で用いたペーパーの内容を発展させ、ジャーナル投稿用論文完成に向けて準備を進める。また、9月の現地渡航の可能性も模索する。 Izhak教授と進めた研究は、その一部を2023年度末にジャーナルに投稿しており、2024年度に入ってからも掲載に向けた修正を進める。2023年度に実現しなかったイスラエルでの共同調査やワークショップ開催については、その可能性を引き続き模索する。ただし当地の情勢が沈静化するまでは、安全に配慮し、2023年度同様にオンラインでの協力となる可能性がある。 台湾の崔准教授とは、11月の国際学会(中華民国国際関係学会・台中市)でのパネル申請の準備を進めている。さらに12月の国際学会(アジア中東学会・京都市)についても共同パネル申し込みの準備を進める。これらの準備のため、上記学会開催までに国立中興大学を訪問する可能性についても考慮する。上記で用いたペーパーは、速やかに体裁を整え、学術誌への投稿を準備する。 上記の方策に基づけば、2024年度末には、新たに複数の英語論文を刊行ないしは投稿し、複数の国際学会発表を実施するなど、国際共同研究として相応しい成果を示せるものと考える。
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Report
(5 results)
Research Products
(18 results)