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¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
チアカリックスアレーン(TCAS)を配位子として用い,水溶液系での元素相乗系化合物を創製し,光物理特性を明ちかにした.Ag^I-Tb^<III>-TCAS三元系について水-DMF系から錯体Ag^I4-Tb^<III>-TCAS_2(Na_9[Ag^I_4Tb^<III>[tcas^<8->)_2]・dmf_8(H_20)_6の単結晶を得た.結晶構造解析の結果,本錯体は二つのTCASが4重のS-Ag-S架橋により結ばれたdouble-cone形状をとることを明らかにした.錯体はTb^<III>に対称心を持つが,大まかにはTCASの中心を軸とするC_4対称をとる.TCAS骨格はわずかに歪んだconeコンホメーションを取っており,その疎水空孔にDMF(4)を包接する.Tb^<III>は計8個のフェノール酸素で構成される8配位立方体構造を持つ.特筆すべきはTb^<III>は配位水分子を持たないことである.これは励起Tb^<III>からOH振動子へのエネルギー移動による緩和を防止する上で重要な配位環境である.合成的にこのような配位環境を作り出すことは難しく,TCASとAg^Iとの混合により各構成要素が相乗的に作用し,超分子構造を組み上げるアプローチが奏功したといえる.なおAg^I_4・Tb^<III>コアにおいてAg^I-Tb^<III>距離はそれぞれ3.3233,3.2383Åであり,直接的な相互作用は認められなかった.単離した単結晶錯体の発光量子収率は20%程度であったが,結晶サイズが小さくなるにつれ減少した(21〜17%).また^5D_4→^7F_5遷移帯の形状の変化が観測され,Tb中心の対象性の差異が示唆された.発光寿命は2msであった.
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