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¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
我々はこれまで、先駆的に独自の方法で、ルテニウム錯体の化学について詳細な検討を行ってきた。その過程において、ルテニウム錯体の高いヘテロ原子親和性を利用した数多くの新規触媒的有機合成反応を開発し報告しており、これらの研究成果は、近年、発展期を迎えているルテニウム錯体触媒化学の基礎を築いたものである。そこで本研究では、まず、我々が1999年に初めて合成に成功し、その構造を明らかにした0価ルテニウム錯体(1),Ru(η^6-cot)(η^2-dmfm)_2[cot=1,3,5-cycloocctatriene, dmfm=dimethyl fumarate],と水との反応を詳細に検討した。その結果、新規オキソ架橋ルテニウム4核錯体(2)が緑色の微小結晶として単離収率73%で得られた。錯体2では、1つのcyclooctatrienyl配位子がRu1とRu2にμ^2,η^3-アリル形式で配位し、他の2つのcyclooctadienyl配位子がRu3およびRu4にそれぞれη^5形式で配位している。全てのルテニウム金属は18電子を有するd^6構造であることから、本錯体2は配位的に飽和であり、架橋酸素原子の一つはOH基であると考えられる。 一方、遷移金属錯体触媒を用いる酸化反応は有機合成上有用であり、酸化剤として酸素あるいは空気を用いる酸化反応は、副生成物として水のみが生成する環境調和型酸化反応として極めて重要である。本研究では、錯体2の触媒機能を明らかにすることを目的とし、まずアルコールの酸素酸化反応について検討した。その結果、第一級アルコールからアルデヒドが、また第二級アルコールからはケトンがそれぞれ高収率かつ高選択的に得られることを見出した。
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