Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本研究では,求核性およびルイス酸性という基本的な触媒機能を原子・分子レベルでの設計により複合化することで,両機能の協奏的発現を可能とし,従来の単一機能触媒を凌駕する高性能触媒を創出することを目的としている.本年度は,炭素-ハロゲン結合および炭素-酸素結合の活性化について反応機構および合成化学検討を行い,以下にまとめる成果を挙げることができた. (1)NiおよびPd触媒クロスカップリング反応におけるハロゲン化アリールの活性化機構:ハロゲン化アリールの低原子価遷移金属への酸化的付加は,触媒的クロスカップリング反応に含まれる重要な素反応であり,これまで錯体化学的な検討が精力的に行われてきた.一方で,実際の触媒反応の条件下における反応機構研究はほとんど行われていない.今回,ニッケルおよびパラジウム触媒によるハロゲン化アリールとグリニャール試薬のカップリング(熊田カップリング)における酸化的付加の機構について,速度論的同位体効果(KIE)を用いて検討した.その結果,酸化的付加の段階に金属と配位子の及ぼす影響を明らかにし,炭素-ハロゲン結合切断の遷移状態に関する知見を得た. (2)フェノール誘導体の高効率熊田カップリング反応:芳香族トリフラートは,反応性の高い擬ハロゲン化物としてクロスカップリング反応に汎用されるが,加水分解に弱く,かつ高価であるなどの欠点がある.そのため,トリフラートをより安価かつ安定なフェノール誘導体に置き換える試みが精力的に行われている.今回,ヒドロキシホスフィン配位子が芳香族カルバメートおよびホスフェートの熊田カップリングを著しく促進することを見出した.カルバメート,ホスフェートいずれの場合においても,以前報告されたNi(acac)_2のみを用いる条件に比べて触媒活性及び選択性の面で格段の向上が実現できた.
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