エネルギー変換を指向した水およびアンモニアの酸化的活性化触媒の開発
Project/Area Number |
19028064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
和田 亨 Institute for Molecular Science, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (30342637)
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Project Period (FY) |
2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | エネルギー変換 / ルテニウ / 水 / アンモニア / 触媒 |
Research Abstract |
遷移金属錯体に配位したラジカル種は生体内の酵素反応の活性中心にみられ、その反応性に注目が集まっている。我々はこれまでにRu^<III>(3,5-t-Bu_2sq)(3,5-t-Bu_2sq=3,5-ジ-tert-ブチル-1,2-ベンゾセミキノン)骨格上に配位した水分子がプロトンを解離することにより、容易にオキソ配位子上に不対電子を誘起したオキシルラジカル錯体[Ru^<II>(O^<-.>)(3,5-t-Bu_2sq)(terpy)]を生成することを報告している。今回、同様のRu^<III>(3,5-t-Bu_2sq)骨格に四座配位子NH_2-bpa(NH_2-bpa=ビス(2-ピリジルメチル)-2-アミノエチルアニリン)を導入することにより、安定なアニリノラジカル錯体の合成と同定に成功した。[Ru^<III>(NH-bpa)(3,5-t-Bu_2sq)]^+は872nmと1172nmに特徴的な吸収を示すが、これらはそれぞれルテニウム-セミキノン間、ルテニウム-アニリド間のMLCTに帰属される。ジメトキシエタン中、[Ru^<III>(NH-bpa)(3,5-t-Bu_2sq)]^+に対して1等量のt-BuOKを作用させるとアニリドプロトンが解離しアニリノラジカル錯体[Ru^<III>(^-N-bpa)(3,5-t-Bu_2sq)]^0を生成する。[Ru^<III>(^-N-bpa)(3,5-t-Bu_2sq)]^0のEPRを測定するとΔM_s=2の遷移基づくシグナルがg=4.2に観測されたことから、S=1の三重項状態であることが分かった。さらに[Ru^<III>(^-N-bpa)(3,5-t-Bu_2sq)]^0を電気化学的に一電子還元することにより生成した[Ru^<III>(^-N-bpa)(3,5-t-Bu_2cat)]^<-1>(cat=カテコール)のEPRシグナルには、N原子のハイパーファインカップリングが観測された。セミキノン-アニリノラジカル錯体[Ru^<III>(^-N-bpa)(3,5-t-Bu_2sq)]^0とカテコラト-アニリノラジカル錯体[Ru^<III>(^-N-bpa)(3,5-t-Bu_2cat)]^<-1>に対してDFT計算を行うと、前者では電子スピンが非局在化しているのに対して、後者ではN-bpa上にほぼ局在化していることが分かった。これまでにアニリノラジカル錯体の報告はあるが、いずれも酸化剤を用いているのに対して、本反応系では酸塩基平衡のみを駆動力としてラジカル種を誘起している。この様な穏和な条件でのラジカル生成は酵素活性中心の機能解明のみならず、新たな触媒反応への展開が可能である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)