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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
蛋白質構造の構造的揺らぎを定量的に解明するため,人工的な分子内電子伝達蛋白質を設計し,その電子伝達速度の圧力依存性から算出した蛋白質構造における特定の2点問の線圧縮率と,多核多次元NMR法によるdistance geometryや緩和測定から得られる構造的揺らぎの結果を比較した.人工的な分子内電子伝達蛋白質であるルテニウム置換亜鉛ミオグロビン(48,81,83位にそれぞれRu錯体を修飾)の光励起によるZnからRu,あるいはその逆の電子移動過程の反応速度を,常圧から2000気圧程度までの圧力で追跡し,その圧力依存性から,その亜鉛ポルフィリンの亜鉛イオンと蛋白質表面に特異的に修飾したRu錯体間の距離は,Ru錯体の修飾位置(48,81,83位)によって,加圧により0.1から2Å程度,距離が短縮される場合(48位と伸張される場合(81,83位)が観測された.このような異方的な蛋白質構造の短縮・伸張は,緩和測定の結果から得られた局所的な運動性や,distance geometryとは相関がみられず,従来想定されていたように,アミノ酸残基の局部的な運動性や主鎖構造のずれが大きい部位で,必ずしも蛋白質構造の大きな揺らぎが起こっているのではないということを示すことができた.さらに,酸素結合蛋白質であるミオグロビンに比べ,外部からの配位子の結合がなく,そのヘム鉄が6配位構造であるシトクロムcについてもNMRによる緩和時間測定を行ない,主鎖構造の運動性について検討した.その結果,主鎖末端領域やループ領域にやや運動性の高い領域が観測されたものの,全体的にミオグロビンに比べ運動性が制限されている領域が多く,シトクロムcは,ミオグロビンに比べ,蛋白質構造上の揺らぎが小さいことを示唆している.
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