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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
1.ビドリド(ビドロシリレン)錯体の構造に関する理論演算 これまでに,タングステンおよびルテニウムのヒドリド(ヒドロシリレン)錯体が不飽和有機基質に対して高い反応性を示すことおよび金属の違いにより反応性が大きく変化することを実験的に見出してきた。これらシリレン錯体の反応性と構造との関係,特に,反応性の違いが何に由来するのかを理論的に明らかにする目的で,両者の構造について分子軌道計算を行ない比較検討した。その結果,まず,構造についての違い,すなわち,タングステン錯体ではヒドリド配位子とシリレン配位子間に配位子間相互作用があるが,ルテニウムではそのような相互作用が無い理由を,フラグメントの分子軌道の相関から説明することが出来た。この違いはそもそもタングステン錯体が4脚ピアノ椅子型であるのに対し、ルテニウム錯体が3脚ピアノ椅子型であるためにヒドリドと結合を形成できるd軌道が異なることに起因すると解釈される。また,錯体の電荷分布を計算し,タングステン錯体のヒドリド配位子がルテニウム錯体のヒドリド配位子よりもヒドリド性が高い結果を得た。このことは,タングステン錯体とケトンやニトリルとの反応では,このヒドリド配位子が基質に容易に転位するが,ルテニウム錯体では.類似の反応が起きない理由の一つと考えられる。 2.シリル(シリレン)錯体の分子軌道とTDDFT計算によるUVの帰属 シリル(シリレン)ルテニウム錯体は光により特異な分子内変換反応を起こし,前例の無いo-シラキノジメタン錯体を与えることを明らかにしてきた。そこで,その反応のメカニズムを解明する足掛かりとしてこの錯体のUV吸収帯の帰属をTDDFT計算を用いて行なった。
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