水中での遷移金属触媒反応に関する理論および実験研究
Project/Area Number |
19029008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉戒 直彦 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (50401170)
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Project Period (FY) |
2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 触媒化学 / 有機金属化学 / 計算化学 |
Research Abstract |
近年,環境に対する配慮から有機溶媒の代わりに水を溶媒として用いる有機合成反応の開発が注目を集めている.また,単なる溶媒としてではなく,極性,水素結合,疎水性相互作用といった水の特質を活かした反応系の構築は,化学的にも興味深い課題である.以上の背景および,我々がこれまで行ってきた有機銅化合物の反応化学に関する理論及び実験研究を基盤として,本研究では水中での遷移金属触媒反応の機構の解明と,それに基づく新規触媒系の合理設計を目的とした.以下に本年度の研究成果をまとめる. (1)銅触媒によるアセチレン二量化の機構:銅触媒による水中でのアセチレン二量化反応の機構について理論的検討を行い,銅ビニリデン錯体を活性種とする新しい反応機構を見出した.触媒サイクル全般を通して,水分子は反応促進に重要な寄与をしていることが分かった.計算によって得られた活性化パラメータは,既知の実験データと概ね良好な一致を示した.副生成物として得られるアセトアルデヒドの生成機構についても,ビニリデン錯体の水和を経る反応経路を明らかにすることができた. (2)有機銅試薬によアシル求電子剤の置換反応の機構:有機銅試薬によるチオエステルおよび酸塩化物の置換反応の機構について理論及び実験的検討を行った.密度汎関数計算による反応経路の検討の結果,チオエステルと酸塩化物の反応は全く異なる機構で進行することが明らかとなった.チオエステルの反応が,銅のC-S結合に対する挿入を経て進行するのに対し,酸塩化物の反応では,C-C1結合は銅と相互作用することなく脱離し,リチウムカチオンによって捕捉される.また,実際の置換反応について12C/13C速度論的同位体効果(KIE)の測定を行い,計算結果とよく一致することを明らかにした.
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)