Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
大規模な分子計算を実現するため,dual-level密度汎関数法(DFT)とよぶDFT計算の新しい近似理論を開発した.DFTは適度な精度と効率性をもっていて,基底状態における大規模な分子の電子状態計算に現在もっともよく用いられている方法である.しかしながら,従来のDFTではSCFの手続きが必要であるため,大規模な分子系に対してはそのSCF回数が計算コストを増加させる原因となる.dual-level DFTは,計算時間を要するSCFの手続きを避ける,DFT計算に対する新しい近似理論である.この方法では,まず,2組の基底関数と交換相関汎関数の組を決定しておく.ひとつは最終的なエネルギー計算に使用する高レベルセットで,もうひとつは高レベルセットよりも低いコストで計算ができる低レベルセットである.dual-level DFTの目的は,高レベル・高コストのセットを用いた従来のSCF計算の結果を,低レベル・低コストのセットを用いて,SCF計算をせずに精度を落とすことなく再現することにある.dual-level DFTでは,最終的なエネルギー計算の際にSCFを行わないかわりに,低レベルセットを用いたDFT計算により,全系の電子密度を決定しておく.得られた電子密度を用いて,参照となるKSエネルギーを計算する.高レベルセットの効果は,参照KSエネルギーに対して摂動として補正する.高レベルセットでSCF計算を行わないので,大幅な高速計算が実現できる.また,得られる結果はSCFに基づいたDFTの結果と遜色がない.本年度はdual-level DFT法を4成分相対論的分子理論に拡張した.また,dual-level DFT法で大規模分子の化学反応の解明を行うために,その解析的エネルギー微分法を開発し,実際に大規模分子の化学反応の計算を行った.dual-level DFT法は変分的な方法ではないため,エネルギーの微分表式を求める際には,分子軌道の核座標微分をあらわに考慮する必要があるが,効率的な実装により高速化を実現した.
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