Project/Area Number |
19029021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 靖次郎 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (40314273)
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Project Period (FY) |
2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | フラーレン / 内包フラーレン / 分子手術法 / 水素分子 / 開口部 |
Research Abstract |
中空のフラーレン骨格内部に小分子・原子・金属イオン等が閉じこめられた内包フラーレンは従来法では純粋な物質の大量合成が困難である。本研究では、比較的安価に得られる空のフラーレンを原料として、フラーレン骨格に穴を開け、そこから小分子や金属イオンを導入した後、穴を閉じるという、いわば「分子手術」とも言える手法によって、新しい内包フラーレンを有機化学的手法により合成し、新規物性の発現を目指した。 13員環開口部をもつ開口C_<60>誘導体に対してNaBH_4を反応させると、開口部が部分的に縮小された化合物が得られた。この反応を利用することによって、開口フラーレン内部にヘリウム原子を35%程度の内包率で閉じ込めることができた。また、小分子を内包させた後に開口部を修復することにより、He, H_2, D_2を内包したC_<60>を合成し、小分子とフラーレン骨格との相互作用を^<13>C NMRを用いて検討した。さらに、水素分子を内包したフラーレンカチオンCHCl_2-H_2@C_<60>^+ならびにアニオンl-octynyl-C_<60>^-を有機溶媒中で発生させ、内包水素分子のNMRシグナルを観測したところ、-2.89ppmならびに-0.60ppmに鋭い一重線が観測された。これは、カチオンやアニオン内部においても、元のフラーレン固有の芳香族性が保持されており、電荷が水素分子の運動には大きな影響を及ぼさないことを示している。一方、8員環の開口部をもつ誘導体と(Ph_3P)_4Pdとの反応を検討したところ、開口部から離れた位置でPdがη^2-錯体を形成していることが判明した。また、数段階の化学反応を用いて、対称性の高い開口フラーレンの新規合成法の開発を行い、その高効率化に取り組んだ。
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