Research Abstract |
(1)2電子項の相対論補正:本研究では無限次FW変換を多電子系に適用するための理論的定式化と計算プロクラムの作成を実施した。2電子項の無限次FW変換の計算プログラムはほぼ完成した。超重原子に至るまでDirac-Coulomb法とエネルギー的に殆ど等価な計算が可能となった。計算量を軽減するために種々の近似方法を提案して,計算精度と計算の高速化の兼ね合いを検討する凖備中である。 (2)エネルギー勾配法の開発:無限次FW法のエネルギー微分を計算する計算プログラムを作成した。無限次FW変換のユニタリー変換を与えるR-演算子方程式の微分形の方程式を解く必要があった。このプゴグラムは重原子を含む化合物の構造決定や種々の分子物性の計算に有用である。Ag,Au,Hg化合物などの結合長を計算したが,我々にとっては残念なことに,分子構造に関してはDk2レベルで相対論効果は十分に取り込まれており,無限次変換では目立った効果はなかった。しかし,超重原子では一定の無視できない効果があった。 (3)カルコグン化合物のCDスペクトルの解析:S,Se,Teを含む化合物の円二色性スペクトル存計算し,高い信頼性をもって実験スペクトルのピークをアサインした。また,実験結果から得られてきた経験側を理論的に再現、説明した。また,環状および直鎖の化合物のスペクトルの違いの由来についても解析することができた。スペクトルの温度依存性を解析した。
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