サーモトロピック液晶に特異的なIm3mキュービック相
Project/Area Number |
19031002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
齋藤 一弥 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (30195979)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥10,800,000 (Direct Cost: ¥10,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥5,800,000 (Direct Cost: ¥5,800,000)
Fiscal Year 2007: ¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
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Keywords | サーモトロピック液晶 / キュービック相 / 小角X線回折 / 最大エントロピー法 / MEM法 / 熱容量 / 分子凝集構造 / 平均場理論 / ランダウ理論 |
Research Abstract |
サーモトロピック液晶BABHのIa3d相ではX線回折の相対強度の鎖長依存性から, 比較的剛直な分子コアが相互観入型ギャングルジムを作っていることを結論できた. Im3m相に対しては, 回折強度の分布が三重周期極小曲面に基づくモデル構造を単純に有限の厚みで修飾した場合とは一致しなかったので, 少数の回折強度から尤もらしい電子密度を推定するために最大エントロピー(MEM)法を利用することにした. 強度の大きい二つの回折[{321}と{400}]の位相(符号)を仮定し, それ以外の弱い回折については強度情報のみを用いてMEM解析を行い, 二つの回折の符号を(-,-)と決定した. こうしてIm3m相では分子コアがジャングルジムと球殻という2種類の構造モチーフを形作っていることが明らかになった. 2種類の構造モチーフは, それぞれIa3d相およびラメラ相(スメクチック相)の構造モチーフと共通点をもっている. Im3m相の特異な構造が明らかになり, その構造に由来する特徴的物性に興味がもたれるので, ANBC(20)について精密熱容量測定を行った. 過去に測定したANBC類と比較することにより, 隣接するスメクチック相との熱容量差(相転移温度における)のアルキル鎖長依存性を検討した. 対称性によらず, キュービック相は3次元連結性によるゆらぎの抑制のためスメクチック相より小さな熱容量を示す. アルキル鎖が長いほどキュービック相の単位格子が大きくなり平均曲率が小さくなってスメクチック相に近くなるのでIa3d相ではアルキル鎖長が長いほど熱容量差は小さくなった. 一方, Im3m相ではアルキル鎖長が大きいほど熱容量差は大きくなった. これは, 閉じた球殻状集合体上の分子の割合が, 単位格子が大きいほど増加することから理解でき, 2種類の凝集体の存在に固有の性質と考えられる. 以上の他, イオン液体の低融点の起源や, 一次元水素結合系の協同的プロトン移動などを検討した.
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)