Budget Amount *help |
¥8,700,000 (Direct Cost: ¥8,700,000)
Fiscal Year 2008: ¥4,500,000 (Direct Cost: ¥4,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
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Research Abstract |
我々は前年度に, ラット新生仔より単離した培養心筋細胞の拍動タイミングの統計的性質を, 特にその長時間スケールでの振る舞いに着目して調べ, その結果, 拍動タイミングにべき的な長時間相関が見られることを発見した. 本年度は, 単一細胞レベルでの自発的拍動タイミングの統計的性質についての特徴付けを進め, さらにべき的長時間相関が生じるメカニズムを探った. その結果, 拍動タイミングのべき的長時間相関およびマルチフラクタル性は, 細胞の結合数などに依存せずに一般的に見られる性質であることが分かった(Biophysical Journalに論文発表). その後, 温度などの培養条件や, 細胞の種類を変えて同様の実験を行ったところ, 長時間スケールにおける統計的性質はほぼ不変に保たれることが明らかになった. 以上の事より, 長時間スケールのべき的相関は幅広い条件下で見られる頑強な性質であることが明らかになった(T. Yokogawa and T. Harada, 論文投稿中). 以上の研究に加えて, 拍動タイミングのべき的長時間相関が発生するメカニズムを明らかにするため, 薬剤処理の効果の検討, および細胞内因子の可視化を進めた. その結果, タンパク質合成阻害剤の存在下では, ゆらぎの長時間相関が失われることが明らかになり, 拍動という細胞機能の揺らぎが遺伝子発現の揺らぎと関係していることが分かった. さらに, 細胞の代謝状態の揺らぎを調べるために, 細胞内ATP濃度の可視化を行い, 細胞の代謝状態をある程度モニターできることを確認できた. 今後こうした手法を用いて, 細胞機能と遺伝子発現状態や代謝状態との関連を探る.
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