Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
マイクロ波利用化学反応の機構解明を目的として, 平成19年度に引き続き, 以下の2つの項目を検討し, それぞれについて成果を得た。第1に, 酵素反応へのマイクロ波効果を検討した。固定化された酵素としてリパーゼ(Novozym435)をエステル交換反応に利用した際のマイクロ波照射の効果を検討し, 速度論的な解析を行なった。その結果, マイクロ波照射は, アレニウス式における化学反応の活性化エネルギーに影響を与えるものではなく, 反応基質の頻度因子の増加に影響することを明らかにした。つまり, マイクロ波照射によって基質分子の衝突回数が増加し, 反応速度上昇の効果をもたらしたと考えられる。 第2に, マイクロ波促進ペプチド合成におけるアミノ酸誘導体の双極子モーメントと反応収率の相関性を検討した。これまでに, ペプチド合成に関わる保護基導入反応や縮合反応にマイクロ波を照射しその有用性を示してきたが, 種々のアミノ酸残基に対して, 基質の双極子モーメントと反応収率が大きく関係することを見出した。また, 他の多くの有機反応のサーベイにより, 反応速度は同じ反応温度であれば, 通常の加熱反応と比較してマイクロ波照射は総じて2桁(100分の1の時間短縮)上回る反応速度であることも見出した。しかしながら, 分子レベルでの挙動としての促進メカニズムの詳細な解明には不十分であり, まだまだ多くの検証がなされる必要がある。今後は, マイクロ波照射によって反応に関わる分子の自由エネルギーが増えるに際して, 熱エネルギーばかりではなく運動エネルギーに配分される寄与を見積もり, それが反応を促進していると考え, これら分子メカニズムを明らかにする必要があるだろう。
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