Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
最近のIa型超新星の観測により,宇宙は加速膨張していることが示唆されている.宇宙の一様等方性を仮定すれば,この加速膨張はダークエネルギーの存在を意味する.一方,この(見かけの)加速膨張を,ダークエネルギーを導入すること無く宇宙の非一様性の効果として説明しようとする試みも行われている.一様等方宇宙ではハッブルパラメータや密度パラメータは空間的に一定であるが,非一様宇宙ではそれらは定数ではなく,空間依存性を通して一般に赤方偏移の関数となりうる.本研究ではまず,重力レンズ効果の表式に用いられる角経距離や光度距離などの宇宙論的距離公式に着目し,非一様時空に起因する効果を宇宙論パラメータの赤方偏移依存性として取り入れた現象論的距離公式を導いた.そして,超新星の光度-赤方偏移関係の観測データとのフィットを行い,遠方宇宙と近傍宇宙でハッブルパラメータに約11%の非一様性を許せば,ダークエネルギー無しに観測結果を説明できることを示した.これを発展させて,現実の宇宙がどのような非一様宇宙モデルで記述されるのかを知ること,すなわち非一様時空構造の解明に重力レンズ効果をツールとして用いるための定式化に向けた準備を整えることができた.今後は,近年の観測プロジェクトで蓄積されてきた最新の超新星観測データについても解析を行い,また重カレンズ効果の観測事例の統計的評価も行って,これら観測データとの照合による非一様宇宙論の観測的検証の確立を計る.
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