Project/Area Number |
19040001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西森 克彦 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 教授 (10164609)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥7,000,000 (Direct Cost: ¥7,000,000)
Fiscal Year 2008: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Keywords | 母性行動 / オキシトシン受容体 / 性二型性 / 攻撃性 / 社会行動 |
Research Abstract |
オキシトシン受容体(OXTR)遺伝子に、本研究室吉田らが作製した蛍光蛋白のVenus遺伝子を挿入したOxtr-Venusマウスの脳を材料とし、特定条件下でのVenus発現の変化(reporter遺伝子)によりOxtr遺伝子の発現誘導について解析した。OXTRニューロンの局在する脳内領域中、特に母性行動と密接な関係を持つLS・BNST・MPOA・VMH・MeA領域において雄、雌脳で共にOXTRの発現を示すVenus発現を確認した。Ratによる過去の報告で、OXTRの発現が示されている、視床下部の視索上核(SON)では、未経産雌でも保育行動を未経験の雄でも、ともにVenusの発現は殆ど検出されなかつた。一方、出産直後の雌、及び新生児の仔マウスと接触させた際に"育児行動(母性行動)"が誘発された雄マウスの脳内でのOXTR遺伝子の誘導的発現の有無を、未経産雌マウス、及び子育て経験のない雄マウス脳をコントロールとして比較解析する実験を、同じくOxtr-Venusマウスを用いて行った。この結果、ヘテロ型雌マウス(Oxtr Venus/+)のMPOAとSONでは、分娩中・母性行動中でVenusの有意な発現上昇と活性化を認めた。 雌未経産マウスに母性行動を誘導した場合においても、MPOA・SONでVenusの発現上昇・活性化が認められた。その他の母性行動関連領域ではVenusの発現増加は認められなかった。これらの結果は、母性行動の誘導には脳内のMPOA・SON領域におけるOXTRの発現上昇が重要であり、MPOA・SONでのOXTR発現、及び出産などの行動に伴うOXTRの発現上昇・活性化機構が、何らかの母性行動制御機能をも持つことを示唆していると考えている。 雄に於いては、未繁殖ヘテロ型雄マウス(Oxtr Venus/+)に新生児をあてがい、母性行動様の子育て行動が誘発された場合、この雄マウスの脳内領域でのVenusの発現上昇を解析した。この結果、MPOA・SONでOXTRの発現上昇・活性化を示唆するVenusの発現増加が認められた。これらの結果は、少なくとも社会行動中で性的に異なる役割が与えられている母性行動の誘発・樹立機構には、雄雌共にMPOA・SON領域でのOXTRの発現上昇が重要な役割を担っており、機構自体は雌雄ともに保持されていると推定される。 保育を共同で行う哺乳類と、雌のみ保育行動に関わる熊などの動物、或いは幼児虐待や養育放棄などのヒトの保育行動と、遺伝子やそのエピジェネティクスに立脚した脳内性分化機構の違いに興味が持たれる。
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