Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
レニン-アンギオテンシン系の研究は国内外を問わずもっともホットな領域の一つといえる。アンジオテンシンは二つのセルセンサーAT1とAT2を介してシグナルを伝えることが知られているが、AT1については既に多くの知見が得られているのに対し、AT2の機能は未知のままである。我々はAT2の発現がAT1シグナルに制御されているという基礎的データを得ており、細胞はAT1からAT2へセンサーをモーダルシフトすることにより、外界に存在するアンジオテンシンのセンシング機構を制御しているものと考えられる、その分子機序が解明されればインパクトは大きい。本研究ではAT1がアンジオテンシンをセンスして惹起されるERKの活性化を指標にAT1とAT2の機能連関の解明を試みた。AT2はAT2に対し、ERKのリン酸化に関しては拮抗的に働くが、この作用は他のEGFやLPAによるERKのリン酸化に対しては認められないことから、シグナル伝達の極めて上流でクロストークしていることが示唆された。また、蛍光タグを付加したAT1とAT2を発現させ、蛍光顕微鏡で観察したところ、両者が共発現した場合には互いの局在を変化させ共局在することが明らかになった。そこで、2つのセルセンサーの結合を解析したところ、免疫沈降法および蛍光共鳴エネルギー移動(FRET) 法の双方でAT1とAT2のアンジオテンシン依存的な結合が認められた。特にFRETを用いたイメージングでは2つのセルセンサーが細胞膜上で結合した後に、エンドサイトーシスされ、エンドソーム上で結合することが、両者センサーからのシグナルクロストークに重要であることが明らかとなった。これらの現象には、双方の受容体にリガンドが結合することが必要であり、更にその下流に位置する因子として、あるセリンスレオニンキナーゼの必要性を同定した。
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http://www.med.hokudai.ac.jp/~clilab-w/