Budget Amount *help |
¥6,300,000 (Direct Cost: ¥6,300,000)
Fiscal Year 2008: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
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Research Abstract |
走化性受容体は, 複数の化学物質のほか, 温度やpHも認識する多機能センサーであり, HisキナーゼCheA, アダプターCheWと巨大クラスターを形成している. 後者の性質はシグナル増幅や適応に重要である. 本研究では, 細菌における膜貫通型センサーによるシグナル伝達の分子機構の解明を目指す. 本年度のおもな成果は, 以下のとおりである. (1) 受容体の多刺激受容性 : 大腸菌走化性受容体による温度刺激の受容機構について解析し, 膜外ドメインが必須でないことを示した. (2) 受容体-キナーゼクラスターの構造と機能 : 異種走化性受容体の共クラスターの構造と機能について解し, 異種走化性受容体ダイマー同士が相互作用し, それがシグナル伝達に関与することを形成することを見出した. これは受容体によるシグナル増幅機構の解明に繋がる発見である. (3) 走化性受容体を含む膜貫通型蛋白質の細胞内局在化機構 : 大腸菌の全Hisキナーゼ(28種)についてGFP融合体を作製し, 局在観察を行った. その結果, 膜貫通型キナーゼがそれぞれ特徴的な局在を示すことを見出した. そのうち極局在を示すもの一つについて, 欠失体やキメラキナーゼの作製などさらに詳しい解析を行い, 極局在に必須なドメインを同定した. 一方, 全反射型蛍光顕微鏡を用いた解析から, 細胞膜中での受容体蛋白質(GFP融合体)の動きは細胞骨格またはそれに付随する構造により制限されることを見出した. (4) コレラ菌における3組の走化性相同システムの機能と局在 : コレラ菌は, 3組のChe蛋白質群(Cheシステム)および45種の走化性受容体様蛋白質をもつ. GFP融合体の解析から, 走化性に直接関与しない系の構成蛋白質が, 微好気条件下でのみ極局在を示すことを見出した. また, アミノ酸走性に関わる受容体2種を同定し, それぞれが複数のアミノ酸の走性を媒介することを見出した.
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