3歳から就学期までの環境移行における社会化・文化化についての追跡的研究
Project/Area Number |
19330710
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
高濱 裕子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (10248734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本山 方子 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (30335468)
天ヶ瀬 正博 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (00254376)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Keywords | 就学前施設 / 環境移行 / 家庭教育 / 自律の発達 / 生態学的観点 / 環境認知・環境定位 |
Research Abstract |
平成20年度の研究目的に照らして、次のような結果がえられた。子どもの自律に関する追跡調査では、環境移行時に焦点化した質問紙調査から、親が就学前施設に期待する内容が大きく変化していることが明らかになった。幼稚園・保育所で子どもが学ぶ能力として、第1位に「コミュニケーション能力」があげられた。約20年前のTobinらの調査結果では「コミュニケーション能力」を第1位にあげた日本人はほとんどいない。また日本人に特徴的な対人的信念である「同情・共感・他者への配慮」をあげる親は激減した。これらの理由を、社会・経済的変化とマスコミ言説などとの関係から分析する必要がある。また都市部の親が幼稚園を選択する際には、平均3園を見学していることや子どもの生活習慣の自立に関する意識がかなり高いことがわかった。さらに入園後(数か月後)の調査からは、子どもの変容を意味づけたり、成長といった視点からとらえ直そうとしている様子が示唆された。 第2の目的は4歳児の幼稚園環境へのかかわりを引き続き観察することであった。本研究は追跡的アプローチを採用するため、データ収集と分析とを同時進行させることは困難である。そこで、まず昨年入園した3歳児の変化について分析を進めた。その結果、入園初期には慎重さや躊躇ともみられる「動けなさ」が観察された。人や事物へのかかわりは、教師の仲介や促しによって出現する場合が多かった。それは、子どもにとっての新奇な環境である集団のもつ意味を考慮する必要があろう。4歳児クラスに進級した子どもについて、さらに継続的に観察した結果、モノやメディアを介した自然形成的な集合体が発生し、相互交流を伴う遊びへと展開するようになった。また、1か月程度にわたって遊びが継続するようになること、特定の仲間を選択することも見られるようになった。環境の資源化を進めると共に、園児が選択的利用を行うようになってきたと結論づけられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)