Project/Area Number |
19390134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Virology
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
OKAMOTO Hiroaki Jichi Medical University, 医学部・感染免疫学講座ウイルス学部門, 教授 (30177092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TANAKA Toshinori 自治医科大学, 医学部・感染免疫学講座ウイルス学部門, 講師 (30146154)
TAKAHASHI Masaharu 自治医科大学, 医学部・感染免疫学講座ウイルス学部門, 講師 (70326841)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
Fiscal Year 2008: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
Fiscal Year 2007: ¥9,750,000 (Direct Cost: ¥7,500,000、Indirect Cost: ¥2,250,000)
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Keywords | 分子 / E型肝炎ウイルス / 細胞培養 / 感染性cDNAクローン / モノクローナル抗体 / 蛍光抗体法 / ORF3欠損変異ウイルス / ORF3抗原 / 放出機構 / 中和抗体 / ORF2抗原 / 劇症肝炎 |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者らが世界で初めて確立することができたE 型肝炎ウイルス(HEV)の感染培養系を用いた研究である。 1) E 型肝炎患者の糞便浮遊液中に含まれるHEV 野生株(JE03-1760F_wt、遺伝子型3)をPLC/PRF/5 細胞に接種し、培養液中に放出された子孫ウイルスを新たな細胞に感染させる継代培養を13 回繰り返すことによって、野生株より10 倍以上感染効率の高い馴化HEV(JE03-1760F_p13)を得ることができた。また、E 型劇症肝炎患者から得られた糞便浮遊液を接種することにより、新たに4 型HEV(HE-JF5/15F)株の培養系を確立することができた。JE03-1760F 株と同様に、培養液中に産生された子孫HE-JF5/15F ウイルスは感染性を有し、6代目の継代培養において、接種後2 日目に培養上清中での子孫ウイルスの出現が確認され、10日目には1.5 x 10^8 copies/ml のウイルス量に達した。HE-JF5/15F_p6 ウイルスに認められたORF1 領域とORF2 領域での10 塩基(4 アミノ酸残基)の変異が活発な増殖能に関連があると考えられた。 2) カイコ蛹で発現した組換えHEV キャプシド(ORF2)抗原蛋白質を免疫原として、9 種類のマウスモノクローナル抗体を作製した。そのうちの1 つ(H6225)は、HEV 粒子との結合能を有し、強い感染阻止能(中和活性)を有することが感染培養実験によって明らかになった。また、HEVORF3 蛋白質のC 末端に相当する24-mer 合成ペプチドを用い10 種類のマウスモノクローナル抗体を作製した。これら抗ORF2, ORF3 モノクローナル抗体を用いた蛍光抗体法により、ORF2 抗原は細胞質、とくに小胞体とゴルジ体、ORF3 抗原は細胞質および細胞質膜に局在することがわかった。 3) 培養上清中に放出されたHEV 粒子はショ糖液中での浮上密度が1.15 g/ml と軽く、糞便中のHEV 粒子(1.26-1.27 g/ml)と異なること、そしてその表面に細胞膜成分とともにORF3 蛋白を有すること、加えてそれら細胞膜成分とORF3 蛋白は界面活性剤と蛋白分解酵素による処理によって除かれ、糞便中HEV 粒子と同様の浮上密度に変化しうることを明らかにした。 4) A549 細胞とPLC/PRF/5 細胞において、糞便由来野生株(JE03-1760F)と同等の感染性と増殖能を有する感染性cDNA クローン(pJE03-1760F/wt)を構築することができた。加えて、ORF3のATG コドンをGCA に置換した変異ウイルス(pJE03-1760F/ΔORF3)を作製し、培養細胞に接種したところ、感染性を有していることが分かった。しかし、ORF3 欠損変異ウイルスは細胞内でのHEV RNA レベルが野生株と同等でありながら、培養上清中ではHEV RNA は検出されないか、極めて低いレベルであり、分泌能を欠いていることが明らかになった。 本研究により、これまで機能が不明であったORF3 蛋白はHEV 粒子の放出に必須であり、放出された粒子上に細胞膜成分とともに構造蛋白の一つとして存在していることが初めて明らかになった。これらの研究成果は、HEV 感染の制御ならびに増殖機構や放出機構のさらなる解明に役立つものと考えられる。
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