Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
霊長類の大脳皮質の領野特異性がどのような分子及び生理的メカニズムによって形成されているのかを明らかにするために、ニホンザルの大脳皮質の遺伝子発現を調べたところ、セロトニン受容体のサブタイプ5-HT1B受容体、5-HT2A受容体が一次視覚野に高濃度に発現していることが明らかになった。これらの受容体遺伝子は一次視覚野の入力層である第4C層および第4A層の細胞に多く発現し、単眼性の視覚遮断を行ったところ3時間以内に発現の低下が観察された。すなわち、これらの遺伝子発現は活動依存的な制御を受けており、概日リズムなど、大脳の活動性を数時間のオーダーで詳説している可能性が示唆された。さらにこれらの受容体サブタイプの生理的意義を明らかにする目的で、これらの受容体の作動薬・拮抗薬の局所投与と、ニューロン活動の記録を同時に行う電気生理実験を行った。一次視覚野ニューロンにおいて、5-HT1B受容体作動薬は低発火頻度の反応に対して抑制、高発火頻度の反応に対して促通性の効果を示した。5-HT2A受容体作動薬はその逆の効果を示した。これらの結果は、活動依存的に発現調節を受けるセロトニン受容体が、ニューロンの活動レベルを、入力強度に依存して調節し、かつ、5-HT1Bと2Aが相補的な役割を担っていることを示している。一次感覚野のレベルでの入力-出力関係の調節は大脳皮質機能に大きな影響を与える。調節性神経伝達物質(ニューロモジュレータ)の働きを理解する上で極めて重要な成果である。
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Cerebral Cortex doi:10. 1093
Eur. J. Neurosci 29
Pages: 1035-1046
130005448464
Cerebral Cortex doi : 10.1093(印刷中)
Eur. J. Neurosci. 29
Cerebral Cortex
Neuroscience 149
Pages: 962-975
http://www.Vision.hss.osaka-u.ac.jp/
http://www.vision.hss.osaka-u.ac.jp/index.htm