Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2008: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Research Abstract |
多くの日本語学習者にとって「おばさん」「おばあさん」や「来てください」「切ってください」などの特殊拍(長音・促音・機音)の有無の区別は知覚・生成ともに困難であることが指摘されている。しかし,これまでの研究成果から効果的な指導法が確立されているとは言い難い。その理由の一つに,日本語学習者がどのように特殊拍を習得していくのか,あるいは習得できないのか,できないとしたらどのような音環境の場合であるのかなどが十分に検討されていないことが挙げられる。そこで本研究では,次の5つの解明を試みた。(1)第二言語としてのリズム計測法,(2)調査協力者の母語である韓国語(ソウル方言話者・釜山方言話者)のリズムと日本語のリズムの特徴,(3)韓国人日本語学習者を対象とした日本語特殊拍の習得プロセスの解明,(4)日本語特殊拍リズムの知覚と生成の関係,(5)学習環境の違い(日本在住・韓国在住),学習者要因(日本語口頭運用能力,学習ストラテジー,学習スタイル,作動記憶容量)が習得に及ぼす影響である。その結果,(1)第二言語としてのリズム計測法としては,PVI(Grabe and Low2002)が習得状況をより捉えられる計測法であること,(2)ソウル方言話者と釜山方言話者による韓国語リズムの違いは見られず,韓国語リズムは日本語リズムに比べて母音間区間の持続時間の伸縮が大きく,nPVIcが異なること,(3)特殊拍の知覚において2年目に習得が確認されたが,特殊拍の中では長音が最も習得が遅いこと,(4)特殊拍の知覚と生成には相関が見られないこと,(5)日本在住の学習者が韓国在住の学習者より特殊拍リズムの習得が早いわけではないこと,特殊拍リズムの習得には日本語口頭運用能力は関与しておらず,口意識型ストラテジー,聴覚型学習スタイル,作動記憶容量が関与していたことが明らかになった。
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