Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
ワイマール期からナチ期にかけての平和的時期におけるドイツ経済界の南東欧への進出は、ドイツ経済力を基盤にして、「補完的空間(Erganzungsraum)」としてのバルカン諸国との結び付きを強める可能性を持っていた。しかし、経済恐慌・ナチ政権の誕生・その権力的軍事的な膨張政策・戦争政策こそが、すべてを台無しにしてしまった。そのドイツ第三帝国の膨張政策も、ルーマニア、ブルガリアなど南東欧の同盟諸国に対しては、「平和的」であり、相手の意思・協力条件を尊重するものであった。しかし、独ソ戦から世界大戦へと総力戦が激化する中では、しかも、ドイツおよびその同盟国の軍事力・軍事経済力が打撃を受け、被害が大きくなるに従って、「平和的協力」の余地は、同盟国との間にさえも、稀少化してくるのであった。人的物的諸資源が、戦争、とりわけ総力戦で消耗していく以上、亀裂は必然的になった。まさに、そうした内的な亀裂の拡大を防ぐためにも、いけにえとしてのユダヤ人の大量抹殺は必然化した。全ヨーロッパの総力戦の悲劇と重圧のヴェクトル、反ドイツ・反第三帝国の圧力が、ユダヤ人に振り向けられた。
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ロシア史研究(2008年度・研究大会号) 82
Pages: 17-25
『横浜市立大学論叢』社会科学系列 第1・2・3合併号(第58巻)
Pages: 223-257
ロシア史研究 82