Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Research Abstract |
本研究は,自家不和合性を持つため育種における選抜効率が悪い普通ソバ(F.esculentum)に,自家和合性をもつ近縁野生種(F.homotropicum)およびダッタンソバ(F.tataricum)との種間交雑により自家和合性を導入して自家和合性の普通ソバ系統を育成し,選抜効率の向上と,種間交配による有用形質の導入を組み合わせることにより,普通ソバの欠点を克服した画期的な新品種の開発を可能にする有用系統を育成することを目的とした. 胚珠培養によりダッタンソバ(F.tataricum)と普通ソバの種間雑種を新たに作出した.両種間の雑種は作出が困難で,屋外で旺盛な生育を示し,F2種子を得たのは世界で初めてであり、大きな成果である.F.tは自家和合性の栽培種であり,種子の脱粒性が無く,ルチン含量が高いことから野生種F.homotropicumとの種間雑種由来の自家和合性系統よりも有用性が高い. また,ダッタンソバは耐湿性,耐寒性に優れた宿根ソバ(F.cymosum)との交雑親和性が高いことから,この種間雑種は普通ソバにF.cの持つ有用特性を導入するための橋渡し植物としての有用であると考えられる. この種間雑種のルチン含量を測定したところ,F1植物は普通ソバと同等の含量を示し,ダッタンソバの高ルチン含量特性が劣性であることを明らかにした. F_2において同形花型自家和合性個体と長柱花型自家不和合性個体が分離し,ダッタンソバの持つ自家和合性遺伝子をS^tと仮定すると,普通ソバの持つ自家不和合性遺伝子S,sに対してS>S^t>sの優劣関係であると推察した.さらに、この種間雑種とF.h由来の自家和合性普通ソバ系統を交配して,S,sおよび自家和合性遺伝子S^hとS^tを併せ持つ3元種間雑種を作出した。F_2世代以降における自家和合性の分離を調査することでソバ属全体における自家(不)和合性の遺伝様式を解明できる有用な研究材料を育成した 普通ソバとダッタンソバはともに栽培種であり,種子の脱粒性が無いにもかかわらず,F_1植物において脱粒性が発現した.F_2において非脱粒性個体と脱粒性個体に分離し,F_3において非脱粒性の固定系統が得られた。したがって,(非)脱粒性は少数の主動遺伝子により支配されていることが明らかになった.そこで、特異的プライマーを用いて脱粒性遺伝子を同定し,ソバ属における脱粒性について考察するために,それぞれの種間雑種からDNAを抽出した. ソバ属の脱粒性はSht1, Sht2, Sht3の3つの遺伝子座により支配されていると報告されており、普通ソバは非脱粒性遺伝子sht1をホモに持つことで非脱粒性を発現しているとされている.したがって,ダッタンソバはsht2,またはsht3をホモに持つと予想された.そこでsht1と連鎖するSTSマーカーを用いて脱粒性遺伝子の同定を行った.その結果,ダッタンソバはSHT1を持たないことが確認された.したがって,ダッタンソバと普通ソバの種間雑種で発現した脱粒性は,これまでの説では説明できないことが明らかになった. そこで、ソバ属における脱粒性および自家不和合性,異型花柱性の遺伝様式を統一的に把握するために,普通ソバとダッタンソバ,F.homptropicum,および宿根ソバ(F.cymosum)との種間雑種の間の交配を行い,3元,あるいは4元種間雑種の作出を行った.作出したこれらの雑種における表現型とDNAマーカーによる遺伝子の解析を22年度から開始する予定である.
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