Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
本研究の具体的目標は次の4点である。1. 育成者権・商標権保護の実態比較分析、2. 中国を中心とした種苗会社の戦略分析、3. アジアの新興園芸産地における種苗利用と出荷経路等に関する調査、4. 「植物パテント」を利用した国内生産者の差別化戦略分析、以上である。各々の目標に対して2年間にわたり次のような研究を実施し、成果を出しつつある。1. 初年度に米国における育成者権保護の実態調査を行い、F1種に対する保護がビジネス上の最重要テーマとなりつつあることが明らかになった。2. 日本の種苗会社の中国戦略は主にF1種の普及に向けられており、また現地における種苗生産基地では法的保護にたよらず専ら情報秘匿による権利保護に終始していることが明らかになった。また中国園芸産地の現地調査により、外国種苗に対する依存度がここ10年で飛躍的に高まっていることが明らかになった。3.アジア新興国では中間層の拡大により、高品質野菜への需要が大きくなっており、そこでも日本種苗への需要が年々拡大していることが現地園芸産地での調査で明らかになった。4.については、日程と予算の関係で十分に研究実施が行えなかったので、今年度以降も取り組む予定である。なお1.~3.の各テーマの研究発表については、2年間という短期間の研究であり、いまだ調査研究が一段落したばかりであったので、昨年度中には具体的成果が出なかったが、今秋に学会発表および複数の論文発表を行う計画で引き続き研究を取りまとめている。