Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Research Abstract |
牛乳から分離したIgGのパパイン消化物から精製したFc,および大腸菌とそれと結合できる牛乳IgGの混合物をマウスに35日間経口投与すると、前者の場合は抗体産生を抑制しないが,後者の場合は抗体産生に関係する多くの因子に対して抗体産生を抑制方向に導くこと,並びにパイエル板細胞の遺伝子のDNAマイクロアレイによる網羅的解析により,牛乳IgGと大腸菌の混合物の投与は抗原提示細胞やB細胞の分化の抑制,ヘルパーT細胞のTh1やTh3への分化の促進,Fcεレセプターの発現抑制などを生じることを示唆した。これらの結果は,牛乳IgGとそれが認識する抗原の同時摂取はI型アレルギーを軽減する可能性を示している。一方,パン酵母に対するヤギ乳IgG分画を2頭のシバヤギを用いて3.6g調製した。そのパン酵母に対するヤギ乳IgG分画と免疫に用いたパン酵母の混合物をI型アレルギー自然発症モデルマウスであるNC/Ngaマウスの飼料に添加して与え,ダニ抗原でアレルギーを誘導し,アレルギー症状やアレルギー関連パラメーターの分析を行った。その結果,パン酵母とそのIgGの混合物を含まない飼料(コントロール飼料)群と比べて添加飼料群のダニ抗原で誘導される耳介部分の腫れは弱く,脱毛や出血等のアレルギー症状も弱いことが確認された。また,それら投与群はコントロール群と比べて脾臓のTh1型細胞数や腸管の免疫グロブリンレベルが低いことが確認された。以上の結果は,パン酵母とそのヤギ乳IgGの混合物の経口摂取は遺伝的なI型アレルギー症状を軽減することを示している。また,コントロール飼料群とパン酵母とそのヤギ乳IgG混合物添加飼料群のパイエル板や脾臓の免疫細胞の特性付けを行ったところ,前者の飼料群と比べて,後者の飼料群のTh2細胞数が有意に減少していることが確認され,パン酵母とそのヤギ乳IgGの先天的(遺伝的)I型アレルギー軽減作用はTh1/Th2細胞バランスの改善によることが示唆された。他方,パン酵母に対するヤギ乳IgGと免疫に用いたパン酵母を添加した飼料で,卵白アルブミンでI型アレルギーを誘導したBALB/c系マウスを飼育すると,無添加飼料での飼育の場合よりもくしゃみの回数は明らかに減少し,脾臓のTh2細胞数、抗原提示細胞数、IgE産生細胞数および肥満細胞数はコントロール群に比べて有意に少なく,逆にIL-10^+CD4^+(Tr1)細胞数は有意に多いことが示された。これらの結果は,パン酵母とそのヤギ乳IgG混合物は後天的に誘導したI型アレルギーマウスにおいてをTh1/Th2バランスの改善だけではなく,IgE産生能の低下,制御性T細胞の誘導、肥満細胞数の減少などを介して軽減することを示唆している。
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