Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2008: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
東海地震などの発生が危惧される東海地区には,複数の離島が存在するため,災害緊急時における小型船舶を用いた患者搬送は有効な手段である.小型船舶は,小回りが利き高速での移動が可能である反面,常に揺れ・振動が発生する.小型船舶環境で使用する医用機器を開発するためには,船舶の揺れ・振動を原因とする計測系のアーチファクト対策に加えて,船舶の揺れ・振動に対する生体動作による生体信号変動を考慮した生体信号の計測手法の開発が必要となる.これまでに,船舶の床,人の腰,頭部に装置した3軸の加速度計のデータを同時に収集計測する加速度計測システム,船舶の運航状況をGPSデータから計測する船舶運航データ収集システム,患者モニタによって計測する心電図,呼吸,SpO2の生体信号をコンピュータに取り込む生体信号計測システムを開発した.小型船舶を用いたデータ計測実験は,鳥羽商船高等専門学校が所有する実習船「あさま」上で行った. 本年度は,船舶の揺れ・振動の生体への伝搬について解析を行った.エンジンの振動を起因とする高周波成分の加速度は,腰や頭などにほとんど伝搬していないことがわかった.船体の揺れなどを表す低周波成分の加速度は,上下方向については床,腰,頭部と伝搬している一方で,床ではほとんど計測されない前後,左右方向の加速度が,頭部,腰で計測されていることが分かった. これまで船酔いの研究では,床に設置した加速度計で船舶の動きを計測し,低周波成分の上下方向の加速度が,船酔いを起こす原因の一つであることが示されている.本研究の結果では,船舶の床で計測されにくい低周波の左右,前後の加速度が,被験者の頭部で計測されていることが示された.これは,上下,左右,前後の船舶の揺れが平衡感覚を司る頭部に伝達していることを示しており,船舶の揺れの神経系への影響について,新たな知見を得る可能性があることが示唆された.
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