「学力低下」問題の根本的解決に向けた新たな青少年学の創出
Project/Area Number |
19652077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Cultural anthropology/Folklore
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐々木 重洋 Nagoya University, 文学研究科, 准教授 (00293275)
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Project Period (FY) |
2007 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2007: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 青少年 / 学力低下 / 教育 / 文化人類学 |
Research Abstract |
本年度も、前年度に引き続き我が国の青少年のライフスタイルや価値観、動機付けの機会などを含め、その成育環境をトータルにとらえるための調査を継続するとともに、主として日本における学校教育の問題を論じた研究成果に関する文献を購入し、その内容を検討した。また、愛知県下の中学校と高等学校の事例を複数対象として、その生徒および教員に対する聞き取りをおこなった。 青少年を取り巻く成育環境は、都市部と村落部の間で相応の相違がある。村落部でも青少年の間で学習意欲の低下がまったくみられないわけでは決してないが、学校外での教育や地域における伝統文化等への参与体験、家庭外での比較的密な人間関係、近所付き合いなど、都市部の一部では得られない成育環境が生きているケースがあり、そうした事例においては青少年の学習意欲や将来への期待度などが相対的に高い。これは、これまでにも指摘されているように、青少年の成育環境をめぐるセーフティ・ネジトが村落部においては比較的機能している場合があるということであろう。一方、都市部でも村落部でも、学業の成績が上位の青少年の間でも学習意欲の低下がみられるケースがある。この中には、自分で起業しようと考えている者で、工場等での単純労働を忌避する者が比較的多く含まれる傾向があるとの見通しを得た。ただし、その詳細な検証にまでは至っておらず、いわゆる「落ちこぼれ」ではないものの、学習意欲が低下している青少年の実態解明が今後の課題となる。 本研究では、「学力低下」の背景や原因を分析するため、単に社会制度や教育制度に関する批判的検討をおこなうだけでなく、青少年のライフスタイルや価値観、動機付けの機会などを含め、その成育環境に関する信頼に足る質的資料の収集が重要であるということがあらためて確認された。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)