Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,高度経済成長期をピ一クとする市民・住民運動の未解明の諸相を,オーラルヒストリーによって明らかにすることである。研究2年目の平成20年度は,以下の調査研究を行った。 (1)オーラルヒストリーにより文字資料の補完を行い,市民・住民運動の記憶をより立体的に記録した。 (2)収集した文字と音声の資料の分析を通して,運動の展開過程,多面性,複数の運動相互の関係性などを明らかにした。 (3)文字資料では表現されにくい当事者の心象,物語性を発掘した。 (4)同時代史の研究手法としてのオーラルヒストリーの有効性と可能性を確認した。 対象とした事例は,つぎの通り。(1)福岡べ平連,(2)妙義基地反対運動,(3)広田湾埋め立て開発反対運動,(4)伊達火力発電所反対運動,(5)九州住民闘争交流団結合宿。 2年目の研究では,市民・住民運動について多くの知見を得ただけでなく,オーラルヒストリーという研究手法には大きな可能性があり,その機能にはつぎのような特徴があることを知り得た。 (1)記録を補完する機能:1)文字資料の補完2)事実の立体化3)資料の豊富化 (2)記憶を物語る機能=1)記録と記憶のズレ2)集合行為に潜む物語の構築 当事者の記憶や無意識の発言には,運動から派生した多様な物語が潜んでいる。それらを重ね合わせることで,文字資料が伝える「事実関係」「客観性」と平行して存在する<もう一つの事実>を読み解くことが可能となる。オーラルヒストリーの未開拓の有効性として今後の課題としたい。
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