Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
機械の摺動面では、表面に各種のテキスチャー(周期的な溝やディンプル等)を施すことによってフリクション低減が期待される。そこで、表面にキャビテーションによるバブルを照射しディンプルを付与する手法と類似の原理による表面創成法を試行し、それらの摩擦低減効果について実験研究した。1.マイクロバブルの発生装置による表面創成本研究で設計製作した水共振システム(WRS)による超音波発生装置を用いてマイクロバブルを鏡面仕上げした純アルミニウムと純銅に照射した。表面をカラー3Dレーザ顕微鏡と原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した結果、微小なくぼみをランダムに発生させることができ、それらは従来の磁歪振動子によるキャビテーションで発生するくぼみに比べて深さが直径に比べて浅いことがわかった。2.表面の摺動試験マイクロバブル照射面の摩擦特性を調べるための摺動試験法について検討した。その結果に基づき、リング・オン・プレート式の摩擦試験機を用いて、上記で創成した表面を無添加の基油中ですべり摩擦させ、なじみ過程に注目して摩擦係数の変化を測定した。その結果、摩擦係数の変化はマイクロバブルによるディンプルを付与していない表面のそれと比較して顕著な違いはみられなかった。3.類似手法による表面創成とその摩擦特性マイクロバブル照射と類似の原理による表面創成法として、固体粒子の投射により表面形状を付与するウエットブラスト法がある。そこで、ウエットブラスト法により種々の表面粗さを形成させると、なじみ過程において摩擦係数は初期表面粗さRaの減少に伴って低下する傾向がみられ、平坦化後にディンプル状に残ったくぼみ部分が油だまりの役割によるものと考えられる。以上の研究結果を総合して、マイクロバブルによる摩擦摩耗特性の改善の着想は妥当であるが、今後最適なディンプルの形状と付与個数等の表面創成を制御することが最大の課題であることがわかった。
All 2010 2008
All Presentation (2 results)