ヒトDNAマイクロアレイを用いたナノ粒子の細胞毒性評価
Project/Area Number |
19656129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil and environmental engineering
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡部 聡 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (10253816)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | ヒトDNAマイクロアレイ / 銀ナノ粒子 / 毒性評価 / バイオアッセイ / 発癌性 / 遺伝子発現解析 |
Research Abstract |
現在生産されているナノ粒子の毒性に関する情報は限られており、人体への影響は解明されてはいない。本研究では、この技術を銀ナノ粒子存在下ヒト由来細胞に応用し、銀ナノ粒子の毒性の有無およびその毒性作用について考察を行った。ニュートラルレッド法と形態観察の結果より、遺伝子発現解析を実施する暴露濃度を低濃度でありながら形態変化が明らかであった40μg/Lと、より高濃度の1000μg/Lに決定した。対照系で紡錘形であった細胞が、銀ナノ粒子暴露群では仮足が伸びたような形態へと変化し、細胞内に多数の空隙が認められた。データベースを基に有意変動遺伝子の機能分類を行った結果、銀、ポリスチレン両ナノ粒子暴露においてM-phaseに分類され、細胞分裂を促進する作用を持つ遺伝子群の上昇変動が顕著であった。また、DNA-repairに分類される遺伝子群の上昇変動も顕著であった。これは、DNAの修復と対応していると考えられ、遺伝子傷害の可能性が示唆された。また、銀ナノ粒子暴露に特異的な遺伝子発現パターンとして、活性酸素種の解毒に重要な役割を担う遺伝子をはじめとする酸化ストレス応答遺伝子の下降変動が挙げられた。小核試験の結果、銀ナノ粒子暴露系にのみ多くの小核が確認され(50.2%)、銀ナノ粒子暴露による遺伝子障害の可能性を強く支持していると考えられる。また、アスコルビン酸を蓄積させた細胞で同様の実験を行った結果、小核形成率が低下したことから(50.2%→26.3%)、銀ナノ粒子暴露による遺伝子障害性に、活性酸素種の関与が示唆された。以上の結果をまとめると、銀、ポリスチレンナノ粒子において発癌作用に関連すると推測される細胞増殖刺激、遺伝子障害を示唆する遺伝子発現パターンが確認された。さらに、これらの結果は、小核試験によって支持され、また、遺伝子傷害性がアスコルビン酸によって抑制されることから、銀ナノ粒子暴露による遺伝子障害性に対する活性酸素種の関与が示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)