Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本研究は,鹿児島湾湾口部に出現する「上層流入,下層流出」の残差流パターンの形成メカニズムを明らかにすることを主要な目的としており,平成19年度,成層期を対象に湾口の流況について現地観測を実施した.この結果を用いて,平成20年度には,観測結果の解析を行った.残差流の鉛直分布の構造と湾軸方向のバロクリニック圧の水平勾配とが同一の分布パターンを示すことから,鹿児島湾湾口部において夏季に出現する「上層流入,下層流出」の残差流は密度流であることが確認できた.また,このような密度流は,黒潮フロントが鹿児島湾湾口部に接岸し,湾口の水温が上昇することがトリガーとなっていることが分かった.さらに,観測結果に基づいて,黒潮フロントの影響が最も顕著に現れる混合期を対象に3次元流動数値シミュレーションを実施した.また,西桜島水道においてADCPを用いた定点観測を5ヶ月間にわたって実施し,同地点での海水交換機構の解明ならびに数値シミュレーションの妥当性の検証に活用した.以上の結果,構築した数値モデルは,流れの観測結果を良好に再現できること,また,「上層流入,下層流出」の残差流は黒潮の接岸によって生じる密度流であることが確認できた. 残差流は海水交換を支配する流動であるため,本研究により,閉鎖性海域の水環境の保全のために重要な科学的知見が得られたものと考えている.さらに,平成20年度には,湾奥部における水質とプランクトン相の観測を行った.得られた結果は,鹿児島湾において発生する有害赤潮シャトネラ・マリーナの出現の定量評価等に役立てられている.
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