Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2008: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2007: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
本研究は,多細胞性シアノバクテリアAnabaena sp.PCC7120の窒素欠乏下における細胞分化(ヘテロシスト分化)・パターン形成のダイナミクスを明らかにするための観測操作系の確立を目指すものであった。その前提として,まず顕微鏡下で培養しつつ,分化誘導を行い,その様子(明視野像,光合成活性,遺伝子発現パターン)をタイムラプス観測するための同時多点同時モニタリング系をほぼ確立し,ヘテロシスト分化に関わる細胞系譜解析を行った。その結果,窒素欠乏処理直後の光合成活性,細胞分化の中枢遺伝子であるhetR遺伝子の初期のばらつきと,最初にヘテロシストを生み出すことになる細胞の位置には相関はなく,窒素欠乏処理直後の細胞のばらつきが後々直接の影響を及ぼしているわけではないことが示唆された。実際,hetR発現パターンの推移を詳しく観察することで,hetR発現強度には一過的な増減が多く観察されること,細胞分裂が揺らぎの一端を担っていることなどが確認された。 さらに一細胞レベルで分化誘導実験を行うことで,パターン形成ダイナミクスの摂動実験を行うことが本研究計画の主要なテーマであった。そこで,MEMS(micro-electro mechanical system)技術を用い,複雑な流路を備えたPDMS-ガラスを素材とするマイクロデバイスを何パターンか作製した。とくに空気バルブを多用し,流路の切り替えを実現したPDMS-ガラスデバイスを作製した。かなり複雑な構成にしてしまったために,デバイスに脆弱な点もあり改善の余地が残ったが,従来にない微小空間流路培養系が確立し,デバイス内での通常の細胞分化を確認することが出来た。今後は,今回作製したデバイスを用い,分化誘導をきたす2-oxoglutarateを局所的に投与する実験を開始する予定である。
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