Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
これまでの研究から、スプライシング反応に関与する分子Smu1の温度感受性変異が、スプライシング反応ばかりでなく、ゲノム安定性維持機構を破綻させて、姉妹染色分体交換の誘発などの染色体不安定性をもたらすことを明らかにしてきた。しかし、スプライシング反応がゲノム安定性維持機構に影響を与える機構は不明であったので、Smu1と相互作用する分子を同定することで、そのメカニズムを解明することを計画した。Smu1はタンパク質間の相互作用に関与すると報告のあるWDリピートのモチーフ配列を持ち、この配列内に温度感受性変異が存在していた。そこでタンパク質問の相互作用を解析するために、大腸菌の発現系を利用してGST-Smu1タンパク質を調製した。このGST-Smu1タンパク質を用いて、アフィニティークロマトグラフィーにより相互作用する分子の探索を試みたが、現在までに有意な相互作用分子を同定できていない。 Smu1と標的分子の細胞内の存在量が微少であることや、その複合体の安定性が低いことが原因と考えられる。また、このリコンビナントSmu1タンパク質を抗原として、ポリクローナル抗体を作成することができた。合成ペプチドを抗原としたSmu1のポリクローナル抗体と比較して、本抗体は未変性の抗原の認識性に優れており、間接蛍光抗体染色によりSmu1とスプライシング反応に関連するSRタンパク質の分布を解析したところ、Smu1の機能欠損や過剰発現により、SF2/ASFの局在が変化することが明らかとなった。この結果は、両者の生理的な相互作用を示唆している。一方、Smu1を含むスプライシング装置を特定するために、in vitroのスプライシング反応系を検討した。 Smu1が関連するスプライシング反応の標的遺伝子を探索した結果、新たにC1k/StyとSC35の両遺伝子に長さの異なる複数の転写産物が存在することが明らかとなった。
All 2008
All Presentation (3 results)