Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
今年度の研究では,飛行時間型2次イオン質量分析計(Tof-SIMS)を活用し,安定同位体でラベルした重水の吸収過程を視覚化し,養水分の吸収と移動経路を明らかにするための方法論を確立することを目的とした.まず,これまでに実施したTof-SIMSを用いた作物の水吸収に関わる実験系についての問題点を確認した.すなわち「よく晴れた日の蒸散が盛んな条件下では,根から吸収した水は木部ではなく師部を介して茎部の皮層細胞などの柔組織に分配される」という本研究で得られた新たな知見に対して,投稿した国際雑誌の審査委員から,蒸散がはたして盛んに行われているかどうかの判断基準を強く問われた.そこで,日射と,蒸散量,蒸発量との関係を調査したところ,植物体のサイズにより,蒸散速度と培地からの蒸発量との関係が異なることが判明した.今後,実験条件をそろえるための工夫が必要であることがわかり,予備的な検討を始めたところである.上記の論文投稿は,最終的に不採択となったため,指摘された諸点を訂正した後,別の国際誌に現在投稿中である.他の成果として,根粒への水の流入経路は,木部や師部からではなくアポプラスト経由の水の流れが主体をなす,という結論について関連データを補足実験により確認したうえで,学会発表を行った.他研究者と議論したうえで,本成果についても執筆を開始した.さらに,培地からの水吸収と水放出現象についての研究成果についても,その整理を開始したところである.本研究の最終年度であるため,本研究で得られたすべての成果から,今後の研究の方向性についてさまざまな視点から議論した.
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