Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Research Abstract |
本研究は, 野生サケ類が再生産している河川における野生魚と孵化場魚のバイオマスを明らかにし, 河川固有個体群としての野生魚の遡上実態からその保全に関わる知見を得ることを最終目的として, 無線操縦ヘリコプター(以下, ラジコンヘリ)に撮影装置を搭載した航空センサス法の確立を行ったものである。最終年度である今年度は, 昨年度導入した空撮用ラジコンヘリに高画質デジタル一眼レフおよび画像転送装置を搭載した飛行システムを用い, 産卵遡上したシロザケに対して航空センサスを施行し, 航空センサス評価モデルによる遡上バイオマス動態の把握の可能性を検討した。調査河川には, 孵化場産シロザケの全遡上数が捕獲場で把握できる北海道南部の茂辺地川を選定し航空センサスを施行した。偏光フィルターを介した河川画像からは,明瞭にシロザケ魚体が識別可能であった。飛行高度については, 搭載したGPSからの情報では精度が低かったことから地上マーカー(基準定規)とデジタルカメラの画角から算出し, 高度30m程度の画像が魚体計数に有効であることが判明した。調査域を上, 中, 下流域(各流呈50, 120および70m)に分け, 得られた画像から計数されたシロザケ個体数と, センサス後の捕獲数の関係を分析した。その結果, 3域の合計, 上流および中流域での計数結果が捕獲数と非常によく相関していた。特に最も狭い上流域は画像2枚で網羅できることから, 限られたセンサス像から遡上数を把握可能であることが示された。併せて,騒音, 排気ガスおよび運搬性の対策として導入した空撮用電動ラジコンヘリは, 画質が低く滞空時間が短いが充分にサケの計数が可能であり, 野生シロザケの再生産が知られる北海道南部の遊楽部川における航空センサスにも成功した。以上のことから, 萌芽的研究として着手したラジコンヘリによる航空センサスがサケ類遡上動態の定量化に有効であることが明らかになった。
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