インテグリン接着制御分子欠損による発癌モデルの樹立
Project/Area Number |
19659102
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Experimental pathology
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木梨 達雄 Kansai Medical University, 医学部, 教授 (30202039)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戎野 幸彦 関西医科大学, 医学部, 助教 (80434827)
|
Project Period (FY) |
2007 – 2008
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
|
Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Keywords | RAPL / Rap1 / 増殖 / 発癌 / 接着 |
Research Abstract |
インテグリン接着制御分子RAPLは低分子量Gタンパク質Rap1のエフェクター分子として免疫系細胞の接着を調節し、免疫監視機構に重要な役割を持つ分子である。意外なことにRAPL欠損マウスは加齢とともに種々の癌が発生することが明らかになった。本研究ではRAPLが癌抑制遺伝子としての機能を持ち、その破綻が癌につながったのかどうか検討する。 RAPL欠損マウスは、加齢とともにリンパ組織が腫大しており、B, Tリンパ球ともに増加していた。リンパ濾胞が過形成であり、大部分はeffector/memory細胞であった。10カ月齢からBcell lymphoma(diffuse large type)(一部Tcell lymphoma)が発生し、15カ月齢までで35%の発生頻度であった。CAGプロモーターによるRAPL Tgマウスは致死的であり、Lck-CreによるT細胞系列での発現マウスではT細胞の分化がdouble negative胸腺細胞の段階で停止した。これらのことはRAPLはがん抑制遺伝子として機能している可能性を支持している。現在mb-1-CreによるB細胞系列発現マウスを作製中である。若年齢のRAPL欠損マウス由来リンパ球ではT細胞、B細胞ともに抗原受容体刺激で細胞増殖が亢進した。抗原受容体からの初期シグナル伝達(PI3キナーゼ、MAPキナーゼ、NFkB、チロシンリン酸化)には異常はなかった。細胞周期解析から増殖亢進はG1-S期の促進によることがわかった。免疫系の異常はリンホーマだけでなく、皮膚炎による脱毛、免疫複合体沈着を特徴とするlupus型糸球体腎炎、血清dsDNA抗体価上昇など自己免疫様症状を示した。また、他の組織では、肝がんや肺がんが多発し、RAPLがリンパ組織以外の器官においても重要な働きをしていることが示唆された。RAPLはRASSFファミリーに属する分子であるが、RASSF1Aががん抑制遺伝子として機能していることが報告された。また、RASSF1AやRAPL遺伝子が肝がんでメチル化による発現抑制を受けていることが指摘されている。RAPL欠損マウスは免疫系、肝臓、肺の発癌モデルマウスとして有用であり、今後、接着制御と増殖制御がどのように関係しているか分子基盤を明らかにしたい。
|
Report
(2 results)
Research Products
(8 results)