Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
加齢に伴う認知機能の低下を緩やかにし、認知症の発症を予防することは、我が国の介護予防対策の大きな柱のひとつである。認知症は、要介護状態に陥る重大な原因であり、超高齢社会において医療費や介護保険費を削減するためにも、予防のための支援方法の確立が急がれている。そして認知症予防の方法のひとつとして、運動やスポーツによって日常身体活動を活性化させることの有効性が注目されている。そこで、本研究では、高齢者の認知機能と身体活動の関連を前向き研究によって調査することを目的として研究を推進した。本研究では、まず、地域高齢者65 名を対象に、運動や身体活動の実態を、従来のアンケートに基づく主観的かつ曖昧な方法ではなく加速度センサー付体動計を用いて客観的かつ精確に把握し、それと認知機能との関係を横断的に調べた。次に、どのような運動や身体活動が高齢者の認知機能の低下を遅らせたり、認知症の発症を予防したりすることができるのかを縦断的に調べた。対象者の身体活動量の測定には、加速度センサー付体動計(ライフコーダPlus、スズケン社製)を用いた。認知機能は、ベントン視覚記銘検査で測定した。日常身体活動量と認知機能の横断的分析の結果から、統計学的な有意差は認められなかったものの、日常身体活動量の多い高齢者は、少ない高齢者と比較して、ベントン視覚記銘検査得点が高かった。また、1年後のベントン視覚記銘検査得点が上昇・維持した群と下降した群のベースラインにおける日常身体活動量を比較して結果、上昇・維持した群は、下降した群と比べて、歩数で示される日常身体活動量が多い傾向を示した(p=.089 ; 9238歩vs.7712歩)。今後は、これらの知見を大規模データで検証していく必要があるだろう。
All 2009 2008
All Presentation (2 results) Book (1 results)