漆塗膜の劣化現象における科学的解明と漆工品修理技術の総合評価
Project/Area Number |
19700667
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Cultural property science
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
神谷 嘉美 明治大, 理工学部, 助手 (90445841)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥1,780,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2008: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 漆塗膜 / 劣化 / 紫外線 / 不揮発成分 / 揮発成分 / Py-GC / MS / 漆固め / 摺り漆 |
Research Abstract |
本研究では漆塗装物の保存を考えるために、複数の手法(光沢度の変化、色彩変化、顕微鏡観察、フーリエ変換赤外分光光度計、熱分解-ガスクロマトグラフィー/質量分析、X線光電子分光法、断面観察等)により試料の分析を行い、漆という天然高分子材料の質的解明と関連技術の評価を"総合的に"試みることを目的としている。特に「漆黒」という語に象徴される黒色の漆塗膜に着目し、初年度である本年度は、黒い漆を作る3種の技術ごとに塗膜試料を作成して、紫外線照射による強制劣化試験を行うことで、光劣化現象の相違点を明らかにした。そうして漆膜の紫外線劣化を以下のように推察した。紫外線を照射した漆膜内では、電子的に不安定な部分を開始点とした切断に続いて、周囲の水や酸素による酸化反応が生じる。次にこれらの鎖の切断と酸化反応により、漆膜を構成しているベンゼン環とその側鎖による3次元網目構造が徐々に分解していく。この一連の反応によって、漆塗膜の平滑度が低下や、細かな亀裂の発生、膜厚の減少などを起こすものと考えている。また生漆膜の紫外線照射に伴う劣化現象に関して、フロンティア・ラボ社の開発した新しい装置を利用することにより、従来の先行研究において化学的検証が困難であった光劣化過程での反応の情報を、完全ではないものの得ることができた。これにより、今まで検討できなかった紫外線照射に伴う漆塗膜からの揮発成分の検討に着手し、塗膜の構造変化を時間ごとに観察することで劣化機構を考察した。 しかし得られた知見を漆文化財へ応用するためには、擬似的に劣化させた漆塗膜のモデル試料と実際に経年劣化した試料との相関を検討する必要がある。そこで来年度実施する方向で進めるため、破壊分析ができるような国内外の黒色漆塗装物の収集を行った。また劣化塗膜に対する修理技術の効果についての検証は、劣化モデル塗膜試料と経年劣化試料を中心として比較実験を行っており、現時点において継続中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)