Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究において申請者が期間内に達成する課題は、靭性、摩擦・摩耗特性の観点から、既存のセラミックス材料の材料特性を凌駕するセラミックス/カーボンナノチューブ複合材料を合成することである。研究の初年度にあたる今年度は、前駆体法を用いた複合材料の合成とその力学的特性評価を実施した。具体的には、特性・機能の発現を可能とする材料合成技術の確立を図るとともに、開発材料の基礎力学特性を評価することで合成技術の有効性を検討した。申請者らはこれまでに、アルミナセラミックス中にカーボンナノチューブ(CNTs)が真に単離分散した組織を有する複合材料の作製に成功している。しかしながら、その破面からはCNTsとアルミナセラミックスとの界面強度の低さに由来する顕著なCNTsの引抜け挙動が認められている。従い、CNTsの有する材料ポテンシャルを充分に開発材料へ反映させるために、CNTsとアルミナセラミックスとの界面強度を増大させる必要がある。CNTsとアルミナセラミックスとの界面強度の増大を目的とし、混酸を用いたCNTsの湿式酸化処理を行った。その結果、処理条件の最適化を図ることによりCNT表面にナノ寸法を有する欠陥を導入することに成功した。CNT充填量の曲げ強度および破壊靱性特性に及ぼす影響評価を行い、湿式酸化処理を施したCNTsを出発原料に使用した複合体はCNTsを0.5mass%添加した際に最も複合効果が得られ、複合体の曲げ強度(σ_b)ならびに破壊靱性値(K_<Ic>)はそれぞれ689.6±29.1MPaと5.90±0.27MPa・m^<1/2>であった.これらの値は既成のアルミナセラミックス(σ_b:380MPa,K_<Ic>:1〜3MPa・m^<1/2>)と比べ大きく、力学的特性の向上が達成された。CNTを活用した材料開発に関する研究は世界的規模で活発に行われているものの、その主要な研究・開発の内容は単一特性の向上を目指したものであり、複数の特性や機能の付与に関する研究は世界的にも前例は見受けられない。このような現状に対して、シナジー効果の発現を可能とする材料合成技術、さらには実用化を踏まえた材料合成プロセスに関する研究は、本研究がはじめて開拓するものである。
All 2008 2007
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (1 results) Book (1 results)
Materials Science and Engineering B 148
Pages: 265-269
Journal of Nanoscience and Nanotechnology 8
Pages: 2665-2670
Journal of Solid Mechanics and Materials Engineering 1
Pages: 854-863
130000078887