Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ni北アメリカで流行しているウエストナイルウイルス(WNV)NY株は患者の30〜40%に脳炎を引き起こす。WNVは蚊の吸血により感染し、血行性に中枢神経系(CNS)に伝播されるが、WNVが血管内皮細胞を通過し、CNSに侵入するメカニズムは明らかにされていない。本研究の目的はヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の単層培養系を用いて、WNVが血管内皮細胞を通過するメカニズムを明らかにし、WNVのCNSへの侵入メカニズムを考察することである。19年度は、WNVウイルス様粒子(VLPs)が血管内皮細胞を通過するメカニズムに焦点を当てた。HUVECをトランスウエルに単層培養し、WNV 6LP株の構造タンパク質を持つVLPs(6-LP VLPs)とEg株の構造タンパク質を持つVLPs(Eg VLPs)の透過性を評価した。その結果、6-LP VLPsはHUVECを通過するが、Eg株は通過しないことが示された。また、6-LP VLPsはlipid raft関連小胞によりHUVECを通過することが示唆された。20年度は小胞輸送に関与するウイルス側因子に焦点を当てた。6LP株とEg株のエンベローブ(E)タンパク質を入れ替えたキメラVLPsを作出し、HUVECの透過性を評価したところ、HUVECにおけるWNVの小胞輸送にEタンパク質に依存することが示された。また、6LP株とEg株で異なる4ヵ所のアミノ酸を1ヶ所(single mutant)または2ヵ所(double mutant)入れ替えた変異VLPsを作出し、HUVECの小胞輸送に重要なアミノ酸を決定した。その結果、WNVの小胞輸送にはEタンパク質の複数のアミノ酸が関与し、特に156番目のアミノ酸がセリン、159番目のがバリンという組み合わせが重要であることが示唆された。以上の結果より、WNVのCNSへの侵入経路の一つとして、血管内皮細胞の小胞輸送を利用している可能性が考えられた。また、血管内皮細胞におけるウイルスの輸送はEタンパク質のアミノ酸配列により決定されることが示唆された。
All 2009 2008 2007
All Journal Article (7 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (19 results)
J. Virol (Epub ahead of print)
120001629752
J Virol (Epub ahead of print)
SAC 152
Pages: 4-9
J. Gen. Virol 89
Pages: 1533-1544
J Gen Virol 89