Budget Amount *help |
¥3,350,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2008: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
心血管系においてATP感受性Kイオンチャネル(KATP)は,虚血や低酸素等の代謝ストレス時に活性化し,心筋を保護し冠動脈を拡張する。われわれは,これまで主に生理的条件化でKATP活性に及ぼす麻酔薬の影響について検討し,その多様な作用を明らかにしてきた。しかし周術期にKATP活性化を介した心血管系の保護効果に対する麻酔薬の影響を検討するためには代謝ストレスの条件化での検討が必要と考えられる。今回われわれは代謝ストレス下での麻酔薬のKATP活性に及ぼす影響を検討した。(方法)培養血管平滑筋細胞を,パッチクランプ法のcell-attached法で単一KATP電流を測定した。代謝ストレスは細胞外環境をアシドーシス(pH=6.8)または高血糖(グルコース:23mM)に暴露することで培養細胞を剌激した。今回は揮発性吸入麻酔薬のイソフラレンおよび静脈麻酔薬のプロポフォールのKATP活性に及ぼす影響を検討した。(結果)イソフルラン(0.5mM)のKATP活性化は高血糖の24時間暴露で有意に抑制されたが,細胞外アシドーシスの条件化では有意に増強した。特異的プロテインキナーゼ拮抗薬を用いた機能解析から,高血糖による抑制にはプロテインキナーゼCの活性化,アシドーシスによる増強にはプロテインキナーゼAの活性化がそれぞれ重要と考えられた。一方,プロポフォール(10μM)のKATP活性に及ぼす影響は代謝ストレスで有意な影響を受けなかった。(結語)今回われわれはパッチクランプ法を用いて種々の麻酔薬の代謝ストレス下でのKATP活性に及ぼす影響を検討し,麻酔薬の種類およびストレスの違いによってKATP活性に異なる作用を示すことが明らかとなった。イソフルレンはアシドーシス下ではKATPを活性化し,血管(冠動脈)を拡張させるが,高血糖状態では活性化が抑制され血管拡張作用も減弱する可能性が示唆された。一方,臨床使用濃度のプロポフォールは生理的条件下および代謝ストレス下ともにKATP活性に有意な影響を与えないことが明らかとなった。
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