Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
加齢黄斑変性は、本邦において成人の失明原因の第3位を占め、難治な疾患である。近年の高齢化人口の増加に伴い、本邦における患者数も増加傾向にある。中でも、滲出型加齢黄斑変性は脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization ; CNV)の発生を特徴とする予後不良な疾病である。滲出型加齢黄斑変性に対する治療法として、光線力学療法(PDT)、経瞳孔的温熱療法(TTT)、CNV抜去術や黄斑移動術などの手術療法がある。これまでの研究から、In vitroの実験より、TGF-ssシグナルが血管内皮細胞のシート構造形成を阻害することを見出した。In vivoにおいてもTGF-ssシグナルを調節することで、血管内皮細胞間の接着分子の発現を制御し、血管透過性を調節できる可能性があると考え、マウスCNVモデルを用いてTGF-beta I型受容体阻害剤のCNVに対する効果を検討したところ、CNVを抑制する傾向が見られた。このことから、TGF-beta I型受容体阻害剤の滲出型加齢黄斑変性の治療への効用の可能性が示唆された。